ハーブ・アロマ メルマガ 「佐々木薫先生のエッセイ」
vol.85
アロマで楽しい、春の大掃除
岩手県大船渡市の山林火災の鎮圧が宣言され、予断はまだまだ許されぬものの少し胸をなでおろします。
被害に遭われた皆様に於かれましては心よりお見舞い申し上げます。被災された皆様の心の平穏と、一日も早い復旧をお祈り申し上げます。
未曾有の被害をもたらした東日本大震災から14年目を迎えます。震災や津波によって犠牲になられた方々へ、あらためて哀悼と鎮魂の念を捧げます。いまだ直面する被災地の様々な課題、この歴史的大惨事を後世へ伝えるとともに、被災地の復興を祈念いたします。今ある日常は、決してあたりまえのものでなく、日々を大切にしなければならないという思いに、身が引き締まります。
さて、いよいよ春がやってきました。しかし、3月は風も強く、とても不安定な気候です。異動に伴う引越しや送別会、お子さんの卒業式や謝恩会等々、行事も多く、気分的にも落ち着きません。自律神経も乱れやすく、体調は崩れがちです。ただ、気温は高くなってくるので、動きやすくなり、行動力は冬よりめきめき高まります。
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日差しが明るくなってくると、室内のホコリも目につきやすく、部屋の散らかり方も気になってきます。日本では大掃除は年末の行事になっていますが、春こそが適した時期かもしれません。実際に、海外では春の掃除を定例とする国も多いようです。動きの停滞する冬が終わり、活気のある春がスタートを迎えるのに際して、大掃除はその象徴的な意味合いを持つのかもしれません。たまったゴミを捨て、整理整頓をして、住環境を清潔にすることは、心身共に心機一転、新しいことを始める気力も上がります。
掃除の前段階としてまず、整理整頓がありますが、アメリカでは整理整頓とメンタルヘルスを関連付ける研究が報告されています。雑然とした生活環境が招く時間のロスは5%、経済的なロスは年収の5%と具体的な数字が提示されています。掃除をすることには、単純に身の回りを清潔にするだけでなく、想像以上の効果がありそうです。
やみくもに掃除を始めるのではなく、まず掃除のフレームワークを整理してみると効率も上がり、モチベーションもアップします。掃除する場所をリストアップし、具体的に「いつ」やるのか、スケジュールを作ってみるとよいでしょう。私自身も「やらなきゃ」と1年中掃除に追われているような気がします。
汚れはついてから早ければ早いほど、落としやすいのは言うまでもありません。それを念頭に入れて、ライフスタイルの中に「お掃除タイム」を組み込んでみましょう。その日の気分で気ままに動くことは心の余裕になり、貴重な時間ですが、それとは別に、淡々と片づけるべき作業については、合理的に取り組んだ方がゆとりの時間を増やすことにもつながります。「めりはり」をつけるとよいでしょう。
お掃除が好きな人も、苦手な人もいると思いますが、アロマをとりいれることで、お掃除時間が楽しくなります。消臭効果、殺菌効果のある精油もありますから、相乗効果も期待できます。私は、お掃除に市販の洗剤はほとんど使いません。お掃除時間=アロマテラピータイムとして楽しんでいます。精油を使って好きな香りを楽しみたいなら、無香料の重曹、クエン酸、水などを精油と組み合わせて活用しましょう。ただし、汚れを落とす力が強力なものは、匂いも強いものがあり、頭が痛くなったり気分が悪くなることがあります。洗浄力や肌への刺激のリスクなど、どこに重点をおくかで材料を選ぶのがよいと思います。
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どの精油を選ぶかは好みでもかまいませんが、ティートゥリー、ハッカ、ヒノキ、ヒバ、ぺパーミント、ユーカリ、レモングラスなどには抗菌作用、消臭作用、リフレッシュ効果があり、おすすめです。たとえば精油10滴、無水エタノール10ml、精製水40mlでアロマスプレーを作り、拭き掃除をする布に吹き付けます。原液の使用は色がついたり、家具やカーペット、床を腐食する可能性がありますので避けましょう。
精油は複数をブレンドすると香りも楽しめます。レモンやオレンジスイート精油などを加えると、香りはより爽やかになるでしょう。重曹やクエン酸に香りをつける場合は、無水エタノール5mlに精油を溶かして加え、よく混ぜます。無水エタノールはアルコールですから、アルコールが塗料や容器などを変質させる場合もありますのでご注意ください。
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お掃除も楽しく、ハウスキーピングも楽しくこなすことで、日常のルーチンワークが心を豊かにしてくれる気がします。皆さまも明るい気持ちで春が過ごせますことをお祈りいたします。
日本園芸協会 指導部 佐々木薫
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