herb& aroma mail magazine

ハーブ・アロマ メルマガ 「佐々木薫先生のエッセイ」
vol.68

アロマで睡眠革命

 長かった夏がやっとひと段落し、秋がやって来ました。今月末、31日はハロウィンのお祭りです。起源は古代ケルトにあり、ケルトでは11月1日が冬の始まりで、新年とされました。前日の31日の夜は大晦日のような厳粛な日でもあり、日本のお盆と同様、死後の世界との扉が開き、先祖の霊が家族に会いに現世へ戻って来る日と考えられました。日本では仮装のパレードばかりが有名ですが、本来の仮装は「死者になりきるため」のもので、死者に近づくため、または先祖の霊に交じってやって来る悪霊たちから身を守るためのものだそうです

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 さて、夜が過ごしやすくなると、寝苦しかった夏に比べ、睡眠時間も長くとれるようになります。今朝の目覚めはいかがでしたか? 睡眠に関する研究、話題はますます増えています。「よく眠れない」という悩みを持つ人だけが睡眠を考えるのではなく、自分の眠りの時間を積極的にプロデュースすることが、QOL(生活の質)を高めると考える人が増えています。自分の睡眠を知るためのアプリやグッズなども開発されています。

 睡眠は量ではなく質が大事であることは、共通認識とされています。睡眠中、脳からはホルモンや神経伝達物質が分泌され、細胞の修復、疲労回復、新陳代謝の促進などが行われています。成長ホルモン、幸福ホルモンとよばれるセロトニンの原料となるメラトニンも、睡眠中に分泌されます。ただ、わからないこともまだまだ多いようです。例えば、入眠直後の深い眠り、ノンレム睡眠がとても大事とされていますが、同様に後半のレム睡眠が記憶を整理する上でとても重要とも言われています。

▼ 安眠のためのハーブの代表はカモマイル。
ホットミルクとあわせたカモマイルティーを就寝1時間前に飲むのもおすすめ。

 セルフチェックでは、朝スッキリと目覚められること、日中、眠気に襲われないことなどが、睡眠の質を判断する目安となりそうです。食後や日中眠くなるのは、やはり睡眠が足りていないということのようです。何時間寝たらよいかは個人差があり、スッキリと目覚め、前向きに活動でき、不要な眠気を催さないのはどのぐらいの睡眠をとった時か、自分でチェックするのがよいでしょう。

▼ インド・スリランカの伝統療法アーユルヴェーダの教えでも、安眠することが重視され、朝、目覚めたらすぐに朝陽を浴びることが推奨されている。

 スイートオレンジ精油と睡眠に関する報告があります。オレンジ精油には神経の緊張を緩め、気分をリラックスさせ、眠りを誘う効果があります。親しみのある香りなので、子供からお年寄りまで抵抗無く楽しめます。就寝前にこの香りを嗅ぐと副交感神経の活動が活性化し、就寝中に香りを漂わせると、起床後の副交感神経の活動が低下し、交感神経が活性化したという結果があります。質のよい睡眠は、認知症予防にも効果があることもわかっています。加齢と共に眠りが浅くなる傾向がありますが、高齢者ほど質のよい睡眠をとる工夫が必要です。

 ティッシュペーパーや市販のアロマストーンなどに精油を1、2滴しみ込ませ、枕元に置きます。アロマスプレーを作り、枕の裏側にスプレーするのもよいでしょう。香りが強すぎると、逆に覚醒する場合もありますので、ほのかに感じる程度がおすすめです。オレンジの他に、ラベンダー、プチグレイン、スィートマジョラム、ネロリ、サンダルウッドなどもおすすめですが、自分が心地よいと感じることが重要です。

▼ 枕元にポプリポットを置き、香らせるのもよい方法。
安眠のためのポプリ、好きな香りを選ぶとよい。

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 今年のハロウィンの夜は、私も死者の霊に思いを馳せ、ぐっすりと就寝したいと思います。

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日本園芸協会 指導部 佐々木薫



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佐々木 薫(ささきかおる)
プロフィール:
公益社団法人日本アロマ環境協会認定アロマテラピープロフェッショナル。 NHKをはじめテレビ、ラジオの出演多数。 日本園芸協会の通信教育講座「ハーブコーディネーター養成講座」テキスト執筆者。

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日本園芸協会 学習サービス課 aroma@gardening.or.jp




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