herb& aroma mail magazine

ハーブ・アロマ メルマガ 「佐々木薫先生のエッセイ」
vol.55

秋の初めにヘアケア

 今年の中秋の名月は9月10日。中国の伝説では、月には一本のキンモクセイの大樹があるそうです。満月が明るく輝くのはその木の花が満開になるから、陰暦の8月15日はちょうど地上でもキンモクセイが咲き始める頃ですが、今年はいかがでしょうか。

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 暑さはまだ続きますが、心身共に夏の疲れを感じるのが秋の初めです。特に暑い気温と紫外線は、肌や髪を傷めます。まずは防御ですが、受けたダメージは早急にケアしたいものですね。髪は一定のサイクルで絶えず、成長し、抜け替わります。何らかの原因でこのサイクルが乱れると、成長途中の髪の毛が抜け落ち、抜け毛が増えます。秋はこのヘアサイクルも乱れやすい時期です。エアコンの風による乾燥や、汗や皮脂による毛穴のつまりなども、頭皮の環境を悪化させる原因になります。紫外線や乾燥により、髪の表面にあるキューティクルが傷つくと、水分やタンパク質を髪の内側にとどめておくことが困難になり、髪のパサつきや切れ毛、枝毛などになります。

 髪には心身の健康状態が連動します。中医学の考え方では、髪の毛に一番関係する内臓は「腎臓」です。「髪は腎の華」といい、腎臓は体の生長や発育の為の生命エネルギーを蓄えている臓器で、この腎のエネルギーが減ると老化が進むと考えます。また、髪は「血余」ともいい、健康な血液が余るほど潤沢に流れていれば、髪は艶やかで、極端に抜け毛が増えることもありません。腎臓は老廃物の排出、血圧の調整、など生命維持のための大切な役割を担う器官です。

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 以上のようなことを踏まえ、あらためて髪の健康を考えてみると、まずは栄養のバランス、睡眠、ストレスマネージメント、適宜な運動が十分にとれているか? 確認してみましょう。髪の状態を健康チェックのバロメータとすることも可能です。髪を作る細胞は頭皮の毛根にあります。髪の成長には頭皮を清潔にすることと毛根の毛球部に栄養が届くように血行をよくすることが大事です。ホホバオイルまたは椿油に抗菌作用があるとされるティートゥリー、レモングラス、ローズマリー、ペパーミントなどの精油をブレンドしたオイルで、頭皮マッサージをしてみましょう。頭皮がさっぱりし、気分も爽やかになります。薬草茶では毛細血管を強化するといわれる成分を含むドクダミ、髪に良いといわれるミネラル、ケイ素を含むスギナなどがおすすめです。

▼ ストレスがたまると頭皮も固くなります。
指の腹を使い頭皮をマッサージすると血行がよくなり、
リラックスにもつながります。
▼ ドクダミ
▼ スギナ

 いずれも、これを用いれば「髪が艶々になる」というものではありません。ハーブやアロマを積極的に取り入れながら健康を整え、その結果、髪も健康になるというメカニズムかと思います。秋の初め、しめやかに生活のリズムを整えたいものですね。

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日本園芸協会 指導部 佐々木薫



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佐々木 薫(ささきかおる)
プロフィール:
公益社団法人日本アロマ環境協会認定アロマテラピープロフェッショナル。 NHKをはじめテレビ、ラジオの出演多数。 日本園芸協会の通信教育講座「ハーブコーディネーター養成講座」テキスト執筆者。

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日本園芸協会 学習サービス課 aroma@gardening.or.jp




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