Sweets Specialist's WEB MAGAZINE

<猫井登のお菓子紀行>

vol.22
オーストリア・ウィーン(2)
ウィーン中心部

この「お菓子紀行」では、私:猫井登と、同じくお菓子研究家である妻:Junkoが実際にお菓子の研究のために訪れた国々での体験や旅の様子を交えながら、さまざまなお菓子を紹介していきます。
今回は、オーストリアのウィーンの様子です。

J:今日からは、いよいよ工房でのウィーン菓子の研修ね。

猫:そうそう、せっかくウィーンまで来たのだから、本場の作り方を学んで帰らないとね。

J:初日の今日は何を作るのかしら?

猫:今日は、伝統的なウィーン菓子である「アプフェルシュトゥルーデル」だね!

J:代表的なお菓子ね。楽しみだわ!

<研修開始>

先生:まずは「アプフェルシュトゥルーデル」の生地を仕込みます。
台の上に小麦粉をドーナツ状に広げて、中心に植物油、塩を加えて混ぜたら、水を少しずつ加えながら、生地を捏ねていきます。
かなり捏ねて、生地がすべすべする状態になったら、生地が乾かないようにラップで包んでおきます。

J:結構、捏ねるのに力がいるわね!

猫:あとで、極薄に伸ばすからね。薄く伸ばしても切れないようにしないとね。

先生:生地ができたら、フィリングを作ります。
リンゴは皮をむいてイチョウ切りにします。今日のリンゴはゴールデンデリシャスです。
バターを鍋で温めて、パン粉を加えて少し焦がします。火からおろしたら、砂糖、シナモン、レーズンなどを加えます。

J:リンゴには火を通さないのね。

猫:そもそも生でも食べられるし、あとで生地に包んで焼くから大丈夫だよ。

先生:では、生地を伸ばしていきます。
まず、麺棒で、出来るだけ薄く伸ばしたらあとは手を使って伸ばしていきます。
こんな風です!


▼生地を薄く伸ばす

J:手首を折り曲げて、手の甲というか手首のつけねのところにひっかけて伸ばす感じね。
意外に破れないものね。

猫:生地を廻しながら、均等な厚さになるように伸ばすのが難しいね。
最終的に生地を置いて下の新聞紙の文字が読めるくらいに薄く伸ばすのが理想らしいよ。

J:ひゃ~、大変だわ。

先生:生地を伸ばしたら、四方に広げて、重しを置いて生地を長方形に広げていきます。
先ほどのバター類をリンゴと混ぜ合わせます。 でき上がった、フィリングを生地の端の方に長く均等に置いたら、生地の残りの部分に溶かしバターを塗ります。フィリングを下から持ち上げるように転がして形を整えながら巻いていきます。フィリング出てこないように生地の両側はねじって切り取ります。表面に溶かしバターを塗ったら、焼きます。


▼広げた生地の端にフィリングを長く均等に置く

▼フィリングを巻いて
生地の両側をねじって切り取り
表面に溶かしバターを塗る

J:生地が薄いから、転がすときに生地が破けないか不安だわ。

猫:まあ、形を整えながら、ゆっくりと転がしていこう。

J:結構、巨大なんですけど! 長さが60cm以上はあるわね。

猫:家で作るときは、短めに作らないとオーブンに入らないなあ。

J:200℃のオーブンで、30~40分焼成するのね。でき上がりが楽しみだわ。

猫:焼いている間に、ランチだって!

J:ひゃ~、キレイなオープンサンドだわ!


▼ランチのオープンサンド

<焼き上がり>


▼焼き上がりの様子

J:焼き上がりに再度溶かしバターを塗るのね。粉砂糖も振ってと。
焼き上がりの熱々は格別ね!


▼完成したアプフェルシュトゥルーデルの断面

猫:アップルパイとはまた違った美味しさだね。

J:次回の研修も楽しみだわ!

つづく

プロフィール:
猫井 登(ねこい のぼる)
1960年、京都生まれ。早稲田大学法学部卒業後、大手銀行に勤務。退職後、服部栄養専門学校調理師科で学び、調理師免許を取得。ル・コルドン・ブルー代官山校で、菓子ディプロムを取得。その後、フランスのエコール・リッツ・エスコフィエ、ウィーン、ロンドン等で製菓を学ぶ。著書:「お菓子の由来物語」(幻冬舎ルネッサンス)、「スイーツ断面図鑑」(朝日新聞出版)、「お菓子ノート」(新人物往来社)ほか。
日本創芸学院「コーヒーコーディネーター養成講座」テキスト「コーヒーショップの経営」について執筆を担当、「飲食店開業セミナー」講師も務める。

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