Sweets Specialist's WEB MAGAZINE

<猫井登のお菓子紀行>

vol.16
フランス・アルザス地方(2)
ストラスブール

この「お菓子紀行」では、私:猫井登と、同じくお菓子研究家である妻:Junkoが実際にお菓子の研究のために訪れた国々での体験や旅の様子を交えながら、さまざまなお菓子を紹介していきます。
今回は、アルザスのストラスブールの様子です。

J:今日は、せっかくなので市場みたいなところを覗いてみたいわ!

猫:じゃあ、さっそく行ってみようか。


▼市場で売られている苺

J:初夏なのに、まだ苺を売っているわ!

猫:たしかに、日本では苺は12月ごろから4月頃のものだけれど、ヨーロッパではベリー類は夏の到来を告げるフルーツなんだよ。こちらの人は、ベリーを見ると「夏が来た!」と思う。

J:日本人は「もうすぐクリスマス!」って思うけれどね。
こっちのトマトも変わった形をしているわ。


▼変わった形のトマト「クール・ド・ブフ」

猫:それは、「クール・ド・ブフ」という名のトマトだね! 日本語でいうと「牛の心臓」。

J:なんと! すごい名前ね。
あらっ、ブレッツェルを売っているわ! これって、ドイツのものじゃなかったっけ?

猫:昨日も言ったように、アルザスは、フランスになったりドイツになったりしていたから、両方の食文化が混じっているんだよ。

J:なるほどね。こういうのを見ると実感できるわね。

猫:それでは、こちらもご覧くださいませ!


▼アルザスのチーズタルト

J:へぇ~ チーズタルトね! チーズケーキってフランスではめったに見ないのに、アルザスでは売っているわけね。ドイツの方だと「ケーゼクーヘン」とか、日本のベイクドチーズケーキみたいなものが売っているものね。

猫:では、もう1つ、こちらもどうぞ!


▼アルザスのリンツァータルト

J:あらっ、リンツァータルトじゃない! これって、ドイツのリンツという工業都市の銘菓じゃなかったっけ?

猫:そう、ここまででわかったように、アルザスのお菓子は、基本的にドイツ色が強い。

J:味わいの方は、どうなのかしら? パティスリーに行ってみたいわ!

猫:じゃあ、せっかくだから、有名なパティスリーに行ってみよう!


▼ストラスブールの有名パティスリー「ネゲル」

J:ここが「ネゲル」なのね!

猫:こちらは1927年創業のストラスブールでも人気のパティスリーだね。

J:東京世田谷のパティスリー「ラ・ヴィエイユ・フランス」の木村シェフが修業されたお店よね?

猫:さすが! よく知っているね。
ケーキを買って、ホテルで一休みしながら食べようか。

<ホテルにて>

J:アルザスのお菓子はドイツの影響が大きいと言っていたけれど、味わいはフランス菓子そのもので、洗練されているわね! 地方のせいか、フルーツがパリよりも新鮮で美味しい感じがするわ。

猫:そうなんだよ。アルザスのお菓子は、フランス菓子の洗練された味わいに加えて、フルーツの新鮮さ、ドイツをはじめ、ほかの国の要素を取り入れた独自性、そういう要素を持っているので日本人も多く修業にやってくる。ネゲルのほかにも、「ジャック」というパティスリーは特に有名だし、あとは、ジャムで有名なフェルベールさんのお店もアルザスの小さな村にある。

つづく

プロフィール:
猫井 登(ねこい のぼる)
1960年、京都生まれ。早稲田大学法学部卒業後、大手銀行に勤務。退職後、服部栄養専門学校調理師科で学び、調理師免許を取得。ル・コルドン・ブルー代官山校で、菓子ディプロムを取得。その後、フランスのエコール・リッツ・エスコフィエ、ウィーン、ロンドン等で製菓を学ぶ。著書:「お菓子の由来物語」(幻冬舎ルネッサンス)、「スイーツ断面図鑑」(朝日新聞出版)、「お菓子ノート」(新人物往来社)ほか。
日本創芸学院「コーヒーコーディネーター養成講座」テキスト「コーヒーショップの経営」について執筆を担当、「飲食店開業セミナー」講師も務める。

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