<猫井登のお菓子紀行>
vol.14
ドイツ(5)
ミュンヘンのクリスマスマーケット
この「お菓子紀行」では、私:猫井登と、同じくお菓子研究家である妻:Junkoが実際にお菓子の研究のために訪れた国々での体験や旅の様子を交えながら、さまざまなお菓子を紹介していきます。
今回訪れているのはドイツのミュンヘンです。
J:ミュンヘンと言えば、ビールよね!
猫:まあ、毎年秋にはオクトーバーフェストといって、ビールの大きなお祭りが開かれるからね。
J:そうか、今はもう冬だから季節ではないのね。残念!
猫:ビールは、年中あるから大丈夫だよ。お祭り気分が味わえるビアホールに行ってみよう。
<ビアホールにて>
J:うわぁ、大きなビアホールね!
猫:1589年開設の「ホフブロイハウス」という醸造会社直営のビアホールで、1,000人以上収容できるらしいよ。
J:すごいわね~。早速、ビールとソーセージを注文しましょうよ!
<ビールとソーセージが運ばれてくる>
▼ビアホール「ホフブロイハウス」の ビールとソーセージ |
▼ミュンヘン名物の白ソーセージ 「ヴァイスブルスト」 |
J:あら、朝食べたソーセージとまた違うわね?
猫:今朝食べたのは、ヴァイスブルストというミュンヘン名物の白ソーセージだね。
今は、冷蔵技術が発達して1日中食べるけれど、非常に繊細なソーセージで、傷みやすいので、伝統的には朝作って、午前中に食べきるというのが習慣なんだよ
J:へえ~、ソーセージにも色々あるのね。
話は変わるけど、今回ドイツのいろいろなクリスマスマーケットを見て来て、バウムクーヘンって、どこにもなかったような気がするんだけど、どうしてかしら?
猫:日本では、バウムクーヘンというとドイツを代表するようなお菓子と思われているけれど、実際は、郷土菓子の一種で、ドイツではそんなに一般的なお菓子ではないんだよ。
日本でも、「八つ橋」とかって、京都のお菓子で、京都ではあちこちで売っているけれど、全国的に売られているわけではないだろう。それと同じだよ。
J:それじゃあ、バウムクーヘンというのは、ドイツのどこの地方のお菓子なの?
猫:バウムクーヘンの発祥地については、諸説あるけど、一般的に言われるのは、ザルツヴェーデル、コトブス、ドレスデンあたりかな。
J:ドレスデン!? 最初に行ったじゃない! マーケットで売っていた?
猫:マーケットでは見かけなかったけれど、お店に入ったときは、売っていたよ。
ちゃんと、目の前のショーケースにあったよ。
J:ええ~? おかしいなあ。
▼ドレスデンのお店のバウムクーヘン |
猫:日本で見かける姿とは、ちょっと違うからね。バウムクーヘンと思わなかったのかもね。
こちらでは、チョコレートコーティングされているのが一般的だし、「シュピッツ」と言って、リング状ではなく、一口大にカットしてからチョコレート掛けしているものが多いから、余計に気が付きにくいかもしれない。
J:なんだ、お店にいるときに言ってよ~。
猫:ごめん、ごめん。ミュンヘンでは、ドレスデンに本店のある「クロイツカム」の支店もあるから、そこで食べてみようか。
▼「クロイツカム」のバウムクーヘン |
J:たしかに、バウムクーヘンだけれど、なんか、変わった提供の仕方ね?
猫:日本では、大きなリング状のバウムクーヘンを切る場合、輪を縦に切って、円を何等分かにして出すことが多いからね。こちらでは、水平に包丁を入れて、薄く削ぎ切りにして出す。
日本のバウムクヘーンは生地が柔らかだけれど、本場のものは固いからね。こうした方が食べやすいし、口どけも良く、味わいもよくなるんだよ。
J:これは現地に来ないとわからないわね。
ドイツ編 おわり
次回からは「フランス・アルザス地方」の旅をご紹介していきます。お楽しみに!