<猫井登のお菓子紀行>
vol.11
ドイツ(2)
ニュルンベルグのクリスマスマーケット
この「お菓子紀行」では、私:猫井登と、同じくお菓子研究家である妻:Junkoが実際にお菓子の研究のために訪れた国々での体験や旅の様子を交えながら、さまざまなお菓子を紹介していきます。
今回訪れているのはドイツのニュルンベルグです。
J:さあ、今夜はニュルンベルグのクリスマスマーケットね。どういう特徴があるの?
▼クリストキント |
猫:あれだよ! クリストキント。一般には、サンタクロースのモデルとなった聖ニコラウスがプレゼントを持って来ることになっているけど、ここニュルンベルグでは、幼児キリスト、つまりクリストキントが持ってきてくれることになっているんだよ。だから、クリストキントがニュルンベルグのクリスマスマーケットのシンボルになっているわけ。
J:クリストキントって、女の子の天使に見えるんですけど。キリストって女性だったっけ?(笑)
お腹すいたわね。名物は何かしら?
猫:食べ物としては、ニュルンベルグはソーセージが有名だね。ドイツには約1,500種類のソーセージがあると言われているけれど、ニュルンベルグのものは、「ニュルンベルガー・ローストブラートヴルスト(NürnbergerRostbratwurst)」として特に名高いんだ。
J:なるほど、だからソーセージの屋台があちこちにあるのね!
猫:まあ、屋台のものもいいけれど、この広場の近くに「ブラートヴルストホイスレ(Bratwursthäusle)」という老舗があるから、せっかくだから行ってみよう。
J:いいわね。
<レストランにて>
猫:せっかくだから、ソーセージのほかに「アイスバイン」も注文しようか?
J:それって、なあに?
猫:ひとことで言うと、豚の骨付きすね肉の塩ゆでだね。
▼ニュルンベルガー・ローストブラートヴルスト |
▼アイスバイン |
J:ソーセージが、可愛い錫のハートのお皿にのってきたわ! ソーセージは、割と小ぶりで食べやすそうね!
猫:ここのソーセージは、地下の工房で毎日手作りされていて、ブナの木の薪を使って店内中央のグリルで焼かれているんだよ。
J:肉の旨味がじゅわっと、ハーブやスパイスの香りもいいわね! 付け合わせのポテトサラダも絶品ね! アイスバイン、すごい迫力ね!
猫:さあ、夕食もとったし、お菓子を買いに行こうか?
J:屋台ではいろいろなお菓子を見かけたけど、ニュルンベルグで有名な菓子とかってあるの?
猫:ちゃんとあるよ! 有名な老舗があるから行ってみよう。
<レープクーヘン シュミットにて>
猫:こちらは、レープクーヘンというお菓子の専門店だよ。1926年創業の老舗だね。
J:レープクーヘンって、どんなお菓子なの?
▼レープクーヘン |
▼レープクーヘンの裏側 |
猫:一言でいうと、スパイスの効いたソフトタイプのクッキーだね。
詳しくいうと、スパイスとしては、シナモン、クローブ、アニス、カルダモン、コリアンダー、ショウガ、ナツメグなどが使われ、甘味料としてはハチミツが用いられ、パンのように発酵させることなく、膨張剤で膨らませる。直径9~10㎝位、厚さ1㎝くらいかな。チョコレートコーティングされたものもあるね。
J:古くからあるお菓子なの?
猫:スパイスと使ったお菓子は、古代エジプト、古代ローマ時代にまで遡るといわれ、ヨーロッパ全土に色々な種類があるよ。
今日のレープクーヘンの祖型は、ベルギーのディナンで生まれたと言われ、これがドイツのアーヘンに伝わり「プリンテン」というお菓子になり、さらにフランケン地方の修道院に伝わり、14世紀頃には、ニュルンベルグの修道院で焼かれるようになったらしいよ。
ハチミツを入れるので焼くと生地が天板にくっつくから、聖体パンの材料とされるウエハースのようなものを生地の下に敷いて焼くのが伝統的な作り方なんだ。最近は輸入されて日本でも売っているけど、裏側をみて白い生地がくっついているか確認して購入したいね。
つづく