Sweets Specialist's WEB MAGAZINE

<猫井登のお菓子紀行>

vol.03
ベルギー(3)
小便小僧とベルギービールとワッフル

この「お菓子紀行」では、私:猫井登と、同じくお菓子研究家である妻:Junkoが実際にお菓子の研究のために訪れた国々での体験や旅の様子を交えながら、さまざまなお菓子を紹介していきます。
今回訪れているのはベルギーです。

J:今日は、ワッフルを食べに行くのよね?

猫:ハイハイ。では、さっそく、グランプラス*に行ってお店を見つけますか。
*グランプラス:ベルギーの首都ブリュッセルの中心地にある美しい広場。

J:せっかく、グランプラスに行くなら、途中、有名な「小便小僧」も見ていきましょうよ。

猫:では、出発!

<小便小僧>

J:なんか、すごく小さい像ね…。それにしても、なぜ、おしっこをしている像なんかを飾っているのかしら?

猫:まあ、いろんな説があるみたいだけれど、反政府軍がブリュッセルを爆破するために仕掛けた爆弾の導火線に少年が小便をかけて消して、町を救ったという伝説が有名だね。

J:町を救ったヒーローというわけね。それならわかるわ。

猫:さあ、こっちの通りがグランプラスへ行く道だよ!

J:うわぁ~、ワッフルのお店が一杯あるわね! どれもトッピングが盛り盛りで凄い!


▼さまざまな大盛トッピングのワッフル

J:どこのお店に入る?

猫:お昼だから、グランプラスまで行って、食事もできる店を見つけて、ワッフルはデザートに食べないか?

J:賛成!

<お店に入り、食事とワッフルを注文。そしてビールも>

猫:せっかくなので、ビールを飲もうかな。ベルギーはビールも有名だからね!*
*2016年、ベルギーのビール文化は、ユネスコの世界無形文化遺産に登録された。

J:昼間から飲むわけ!?

猫:じゃあ、あなたは飲まないんだ! 飲み比べセットがあるから、これを1人前と…。

J:ちょっと待って~! 私の分も頼んでよ!!

<ビールが到着>

J:なんか、すごい量なんですけど! ベルギーってビールが何種類あるわけ!?


▼ベルギーはビールの種類も豊富

猫:ベルギーは小規模な醸造所がたくさんあるからね。ブリュッセル郊外で作られるランビックビールとか、修道院で作られるトラピストビールとか…。

J:トラピストビールは分かるけど、ランビックビールってなに?

猫:一言でいうと、野生の酵母を使った、自然発酵ビールだな。

J:なんか赤いのもあるんですけど! ビールなのに、フランボワーズの味がするわ!

猫:ドイツでは、ビールの原材料が厳しく制限されているけど、ベルギーは制限がないからね。そういったビールもあるんだよ。ハーブやスパイスを効かせたものもあるよ。

J:これだけバリエーションがあると、ワインみたいにビールと料理マリアージュが楽しめるわね!

猫:ベルギーの人たちは、ビールに強いこだわりを持っていて、銘柄ごとに、形が異なるグラスも用意されているんだよ。

<ワッフルが到着>


▼ブリュッセル風ワッフル

J:わあ、大きいわね。2人で一人前にした方がよかったかもね。

猫:大丈夫! これは、ブリュッセル風ワッフルで、そんなに重くないから。

J:ところで、ワッフルって、いつ頃からあるお菓子なのかしら?

猫:何をもって起源とするかは難しいけれど、今、目の前にあるような形のワッフルは、だいたい16世紀中頃にはあったんじゃんないかと思うよ。

J:どうしてわかるの?

猫:じゃあ、このあと、面白いものを見にいこうか。

つづく

プロフィール:
猫井 登(ねこい のぼる)
1960年、京都生まれ。早稲田大学法学部卒業後、大手銀行に勤務。退職後、服部栄養専門学校調理師科で学び、調理師免許を取得。ル・コルドン・ブルー代官山校で、菓子ディプロムを取得。その後、フランスのエコール・リッツ・エスコフィエ、ウィーン、ロンドン等で製菓を学ぶ。著書:「お菓子の由来物語」(幻冬舎ルネッサンス)、「スイーツ断面図鑑」(朝日新聞出版)、「お菓子ノート」(新人物往来社)ほか。
日本創芸学院「コーヒーコーディネーター養成講座」テキスト「コーヒーショップの経営」について執筆を担当、「飲食店開業セミナー」講師も務める。

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