Sweets Specialist's WEB MAGAZINE

<猫井登のお菓子紀行>

vol.01
ベルギー(1)
スイスのマカロンとチョコレート

前回までの「スイーツ面白辞典」では、1つのテーマを掘り下げて解説を行ってきましたが、今回よりスタートする「お菓子紀行」では、私:猫井登と、同じくお菓子研究家である妻:Junkoが実際にお菓子の研究のために訪れた国々での体験や旅の様子を交えながら、さまざまなお菓子を紹介していきます。

これまでフランスのパリは何回か訪れましたが、見聞を広めるために色々な国々を訪問することにしました。
まず、目指したのはベルギー!
現在では、日本→ベルギーの直行便がありますが、当時はなく、スイスのチューリッヒで乗り継ぎをしました。

J:乗り継ぎは、面倒だけれど、途中、中継点のお菓子も見られるのがいいわね!
あ、マカロン! マカロンって、フランスだけかと思っていたら、スイスにもあるのね。
フランスでは、ラデュレのものが有名だけど、どこのかしら?


▼スイスのマカロン「ルクセンブルゲリ」

猫:シュプリュングリ(Sprüngli)というお店のものだね。スイス・チューリッヒの老舗チョコレート店。「ルクセンブルゲリ」という小ぶりのマカロンが有名だよ。

J:スイスなのに、ルクセンブルゲリ?? ルクセンブルグ公国と何か繋がりがあるのかしら?

猫:こちらのお店の職人がルクセンブルグのお菓子屋さんで修業したときに得たレシピをベースにしているらしいよ。購入して、ホテルで味見してみよう。

J:なんか、すごいウサギの軍団がいるけど、なにかしら?


▼「リンツ」のウサギ型チョコレート

猫:スイスの有名なチョコレートメーカー、「リンツ(Lindt)」の商品だな。
ちょうど今、イースターの時期だから、ウサギ型にしているわけだ。

J:リンツって、そんなに有名なブランドなの?

猫:チョコレートに関する4大発明のうち、チョコレートを滑らかに、口どけを良くするする「コンチング」という技法を考えた、ロドルフ・リンツという人が会社だね。

J:チョコレートの4大発明って、なんだっけ?

猫:チョコレートの原料のカカオいうのは、メキシコあたりが原産で、現地ではすり潰して、滋養強壮の飲み物として珍重されてきた。それをスペイン人がヨーロッパに伝えるわけだけど、(A)苦くて、(B)脂っぽくて、(C)ザラザラした舌触りの、(D)飲み物だった。これを解消するために、さまざまな発明がされたわけだ。

<豆知識> チョコレートの4大発明

  1. オランダの「バン・ホーテン」がしつこいカカオバターの脂肪分を除去し、飲みやすい現在の「ココア」を作る。 →(B)の解消

  2. イギリスの「フライ社」が、それまで飲み物であったチョコレートを「食べ物」にした「板チョコ」を作る。 →(D)の解消

  3. スイスの「ダニエル・ペーター」が「ミルクチョコレート」を作る →(A)の解消

  4. スイスの「ロドルフ・リンツ」が「コンチング」を開発。 →(C)の解消

猫:4大発明のうち、2つが続けてスイスでなされたことで、スイスは一躍、チョコレート先進国になるんだ。特にミルクチョコレートは、まろやかな味わいで、老若男女に受け入れられた。

J:でも、今ではチョコレートいうと、ベルギーとかフランスでしょ? どうして、そうなったんだろう?

猫:それを、調べに行くのが、今回の旅の目的の1つだね。

つづく

プロフィール:
猫井 登(ねこい のぼる)
1960年、京都生まれ。早稲田大学法学部卒業後、大手銀行に勤務。退職後、服部栄養専門学校調理師科で学び、調理師免許を取得。ル・コルドン・ブルー代官山校で、菓子ディプロムを取得。その後、フランスのエコール・リッツ・エスコフィエ、ウィーン、ロンドン等で製菓を学ぶ。著書:「お菓子の由来物語」(幻冬舎ルネッサンス)、「スイーツ断面図鑑」(朝日新聞出版)、「お菓子ノート」(新人物往来社)ほか。
日本創芸学院「コーヒーコーディネーター養成講座」テキスト「コーヒーショップの経営」について執筆を担当、「飲食店開業セミナー」講師も務める。

◇◇◇

このメルマガは、日本創芸学院の「お菓子づくり講座」をご受講いただいた方にお送りしています。

お問い合わせ:学習サービス課 swinfo@sougei.co.jp

※お問い合わせの際は、必ず「お名前(フルネーム)」と「メルマガを受信したメールアドレス」を添えて、お知らせください。





Back Number
バックナンバーはこちら