Sweets Specialist's WEB MAGAZINE

<猫井登のスイーツ面白事典>

vol.45
チーズケーキ(1)

最近、トレンドのスイーツについて取材を受ける機会が増えました。
一番多いのは「タピオカミルクティー」ですが、結構多いのが「チーズケーキ」!
2018年7月に「バスクチーズケーキ」の専門店が出来てから、また静かなブームになっているようです。

ここでは、まず話題の「バスクチーズケーキ」のお話をして、次にチーズケーキの歴史や日本での変遷を見て行きたいと思います。

バスクチーズケーキというと、なにやらスペインのバスク地方に昔から伝わる伝統菓子のような感じがしますが、そうではありません。

バスクに、美食の街として有名な「サン・セバスチャン」という場所があるのですが、こちらにある「La Vina(ラ・ヴィーニャ)」というバルのチーズケーキが大層美味しいと評判になり、このお店のレシピを模して作られたチーズケーキを「バスクチーズケーキ」と呼んでいるのです。

外国の1軒のお店で作られたお菓子が、異国である日本で1つのブームになるというのは面白いですね。ただ、振り返ってみると、スイーツブームの先駆けとなったティラミスも、一説には、イタリアヴェネト州のトレヴィーゾという街にある「ベッケリーエ」というお店が発祥といわれていますから、そんなに珍しいことではないのかも知れません。

横道にそれますが、皆さん、ティラミスもチーズケーキの一種だって、認識されていますか?
材料にマスカルポーネ「チーズ」を使う立派なチーズケーキなんですよ!

さて、バスクチーズケーキが一躍有名になったのは、2018年7月、東京の白金高輪駅の近くに「GAZTA(ガスタ)」がオープンしてから。先程の「ラ・ヴィーニャ」のレシピを正式に伝授され、それに基づいてチーズケーキを作っているお店です。

上面は少し焦げ目がついていますが、中はとろり柔らかい食感。卵の味わいが強く、通常のベイクドチーズケーキにカスタードクリームを合わせたような濃厚な味わいです。


▼「GAZTA」のバスクチーズケーキ
▼バスクチーズケーキの断面
▼「GAZTA」のお店の外観

ところで、バスクの街にある1軒のバルが作るチーズケーキがどうしてここまで有名になったのでしょうか? バスクチーズケーキを最初に日本に紹介したのは誰だったのでしょうか?

次回は、このあたりの話をしたいと思います。

つづく

プロフィール:
猫井 登(ねこい のぼる)
1960年、京都生まれ。早稲田大学法学部卒業後、大手銀行に勤務。退職後、服部栄養専門学校調理師科で学び、調理師免許を取得。ル・コルドン・ブルー代官山校で、菓子ディプロムを取得。その後、フランスのエコール・リッツ・エスコフィエ、ウィーン、ロンドン等で製菓を学ぶ。著書:「お菓子の由来物語」(幻冬舎ルネッサンス)、「スイーツ断面図鑑」(朝日新聞出版)、「お菓子ノート」(新人物往来社)ほか。
日本創芸学院「コーヒーコーディネーター養成講座」テキスト「コーヒーショップの経営」について執筆を担当、「飲食店開業セミナー」講師も務める。

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