Sweets Specialist's WEB MAGAZINE

<猫井登のスイーツ面白事典>

vol.43
フランスの小麦粉(3)

前回、フランスなどでは「灰分」を基準に小麦粉を分類しているというお話をしました。
そこで、今回は、実際にフランスではどのように分類されているのかを見ていくことにしましょう。

フランス語で小麦粉は「farine ファリン」と言います。ス-パ-の売り場に行くと、いろいろな種類の小麦粉が並べられ、壮観?です。

さて、フランスでは、小麦粉の種類は「Type ティプ(タイプの意味)」の数字表記で分類されていて、袋に「Type45」や「Type55」などと表示されています。

この45や55という数字が小麦粉の灰分の量を表しているのです。
まずは、フランスのタイプ別の表を見てみましょう。

袋 の 表 示 灰 分 量
Type45 0.50 %以下
Type55 0.50 % ~ 0.60 %
Type65 0.62 % ~ 0.75 %
Type80 0.75 % ~ 0.80 %
Type100 0.75% ~ 0.90%
Type130 1.00 % ~ 1.20 %
Type150 1.50 %以上

この表を眺めると、Typeのあとの数字は灰分量の%を表しているのがわかりますね。

一般的には、フランス在住の日本人の間では、お菓子作りにはType45、パン作りにはType55と言われているようですが、あくまでこれは灰分量による分類で、45が薄力粉、55が強力粉というわけではありません。例えば「はるゆたか」は灰分43%なのでType45に該当しますが、タンパク質が多く強力粉となります。

実はタンパク質量を調べると、45も55もだいたい10~11%で、日本の分類にあてはめると、中力粉、準強力粉に分類されるのです。

実際、私が学んだ製菓学校(ルコルドンブルー代官山校)では、リスドォルという小麦粉を使ってお菓子作りを行っていましたが、こちらの袋には「準強力粉」と表示されています。

「お菓子作りにグルテンは大敵!」という日本のお菓子作りの通説?から考えると、「お菓子作りにそんな粉を使うなんて、とんでもない!!」ということになるかも知れませんが、そろそろ「グルテン・灰分=悪者」信仰から脱し、頭を柔軟にして、美味しいお菓子を作るためには、どのような小麦粉を使うべきかを考えてみましょう。

フランスの小麦粉 おわり

プロフィール:
猫井 登(ねこい のぼる)
1960年、京都生まれ。早稲田大学法学部卒業後、大手銀行に勤務。退職後、服部栄養専門学校調理師科で学び、調理師免許を取得。ル・コルドン・ブルー代官山校で、菓子ディプロムを取得。その後、フランスのエコール・リッツ・エスコフィエ、ウィーン、ロンドン等で製菓を学ぶ。著書:「お菓子の由来物語」(幻冬舎ルネッサンス)、「スイーツ断面図鑑」(朝日新聞出版)、「お菓子ノート」(新人物往来社)ほか。
日本創芸学院「コーヒーコーディネーター養成講座」テキスト「コーヒーショップの経営」について執筆を担当、「飲食店開業セミナー」講師も務める。

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