Sweets Specialist's WEB MAGAZINE

<猫井登のスイーツ面白事典>

vol.35
パリでクリスマスケーキ

半年近く、お菓子の道具の話をしてきたので、そろそろ本題のお菓子の話に戻しましょう。

そろそろ12月。クリスマスシーズン突入ですね!
・・・というわけで、今回は、私がパリの製菓学校でクリスマスケーキを習ったときのお話。

フランスでクリスマスといえば、まずは「ブッシュ・ド・ノエル」!
皆さんがご自宅や教室で作られるときは、せいぜい20㎝くらいの長さだと思いますが、お店で仕込むときは2mくらい生地をつなげて一気に仕上げることもしばしば。

製菓学校でも80㎝くらいの長い型に仕込んで切り分けるという方法をとりました。トヨ型(※)にクリーム、ムース、生地、ジュレなどを仕込んでいきます。いわゆる「逆さ仕込み」です。
通常のブッシュ・ド・ノエルのほか、プチガトーサイズの小型のものは「ブシェット」と呼んだりもします。

※家の「雨どい」のように、寝かせたパイプを真横に切ったような形の金属製の型のことです。「とい型」とも呼びます。


さて、授業では、ブッシュのほかに、もう1つチョコレートのクリスマスケーキを作ることに!
チョコレートの生地の土台に、グラサージュショコラ(ピカピカの艶のある上掛け用チョコレート)をかけていきます。出来上がったものにチョコレートでデコレーションをするのですが・・・

あれ、なんかシェフのデコレーション、平板じゃない??
(もっと、立体的にすればいいのに・・・)
納得のいかないデコは真似したくない。 勝手にデコレーションを変えて、アーチみたいにしてみる。

シェフは、「ほぉ~」という顔をしつつも、ニヤニヤ・・・
(な、なんだ、そのニヤニヤは?? 素直に負けを認めなさい 笑)

全員、デコを終了・・・
シェフ:「さあ、ケーキを箱に詰めて下さい。入らない人がいると思いますが(ニヤニヤ)」

箱が配られるが・・・
なんじゃぁ、この箱は?? 全然高さがないじゃないか~
こういうことだったのね(笑)

シェフは、箱の高さが低いことを知っていて、 平板なデコにしたのであった・・・
(もっと高さのある箱を用意しろよ!)
ブツブツいいながら、デコを外して、ケーキを箱へ。

シェフに逆らうと、痛い目にあう?? 修行時代の懐かしい想い出でした。


皆様、良いクリスマスを!

 

プロフィール:
猫井 登(ねこい のぼる)
1960年、京都生まれ。早稲田大学法学部卒業後、大手銀行に勤務。退職後、服部栄養専門学校調理師科で学び、調理師免許を取得。ル・コルドン・ブルー代官山校で、菓子ディプロムを取得。その後、フランスのエコール・リッツ・エスコフィエ、ウィーン、ロンドン等で製菓を学ぶ。著書:「お菓子の由来物語」(幻冬舎ルネッサンス)、「スイーツ断面図鑑」(朝日新聞出版)、「お菓子ノート」(新人物往来社)ほか。
日本創芸学院「コーヒーコーディネーター養成講座」テキスト「コーヒーショップの経営」について執筆を担当、「飲食店開業セミナー」講師も務める。

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