Sweets Specialist's WEB MAGAZINE

<猫井登のスイーツ面白事典>

vol.28
パティスリー巡りのテクニック(2)

前回に引き続き、お菓子屋さん巡りの話です。今回はケーキ屋さんで買ったケーキを家に持ち帰ったあとの話をしましょう。


3、食べる前に何をすべき?

せっかく、遠くまで足を運び、苦労して買ってきたお菓子をすぐにバクバク食べて終わりにしてしまっては、もったいないので、まずは携帯でもいいので写真を撮りましょう。ケーキには必ず「正面」があります。パティシエは、必ず一番ケーキの綺麗な部分を手前にしてデコレーションを行っていきます。どこが正面になるのかを意識しながら写真撮影をしましょう。ケーキを台紙の上にのせるとき、取っ手部分があるところに背面がくるようにケーキをのせることが多いので、それも参考にしながら、どこが「正面」かを見定めてください。


撮影が終わったら、デコレーションを観察してみましょう。
「お菓子講座」のテキスト③をお持ちの方は、p85~を参考にしながら、お菓子に施されたデコレーションが、どのような技法でなされているか確認していくと、今後ご自身でデコレーションを行う際の参考になります。

突然ですが、ケーキのデコレーションに関する用語のテストです!
Q、ケーキの上に刺さっているお店のロゴなどをデザインした小さな紙の名称は?
  →ケーキピック、チケット
Q、水滴のように見える透明な液体の名称は?
  →ナパージュ
Q、金色や銀色の小さな球体の名称は?
  →アラザン
Q、ケーキの側面などにまぶしつけてある粉状のスポンジの名称は?
  →ケーキクラム
   それぞれのパーツの名称を覚えて、会話に使えるようになると「ツウ」っぽくなります!


4、ケーキの食べ方は?

何種類かのケーキを食べる時は、食べる順番も大切です。最初に味の濃いものを食べてしまうと薄い味を感じるのが難しくなるからです。食べる順番の原則は「味が薄いモノから濃いモノへ」。
いよいよ、試食に入るわけですが、私の場合、まずはケーキを真っ二つに切り、断面を観察するようにしています。一流店のケーキは組み立てがキチンとなされています。見慣れてくると、断面を見て、シェフの製作意図がわかってくるようになります。さて、実食。まず一口目は上から下まで全体を一気にすくいとって食べてみましょう。ケーキはいろいろなパーツから成り立っていますが、あくまで全体で1つのもの。オーケストラの奏でる音楽を鑑賞するように、まずは全体のハーモニーを味わってみましょう。次は上からパーツを1つずつ味わってみましょう。味や香り、食感の組み合わせなどを分析します。最後に再び、上から下まで全体をすくって食べてみましょう。今度はそれぞれのパーツがわかっているので一度目にはわからなかった微妙な味わいや食感が見え隠れするはず。余裕のある方はノートに記録を残しておくと今後のケーキ作りの参考になります。

以上、2回にわたりパティスリー巡りや食べ方についてお話をしてきましたが、是非参考にしてケーキ作りの腕を磨いてください! 

(パティスリー巡り 終わり)

プロフィール:
猫井 登(ねこい のぼる)
1960年、京都生まれ。早稲田大学法学部卒業後、大手銀行に勤務。退職後、服部栄養専門学校調理師科で学び、調理師免許を取得。ル・コルドン・ブルー代官山校で、菓子ディプロムを取得。その後、フランスのエコール・リッツ・エスコフィエ、ウィーン、ロンドン等で製菓を学ぶ。著書:「お菓子の由来物語」(幻冬舎ルネッサンス)、「スイーツ断面図鑑」(朝日新聞出版)、「お菓子ノート」(新人物往来社)ほか。
日本創芸学院「コーヒーコーディネーター養成講座」テキスト「コーヒーショップの経営」について執筆を担当、「飲食店開業セミナー」講師も務める。

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