Sweets Specialist's WEB MAGAZINE

<猫井登のスイーツ面白事典>

vol.26
クーベルチュール(2)

前回に引き続き、今知っておくべきクーベルチュールメーカーの話をしましょう。

2、大東カカオ https://www.daitocacao.com/index.html


クーベルチュールというとヨーロッパと思われるかも知れませんが、日本のメーカーも優れた製品を作っています。中でも1924年創業の大東カカオは、1929年には早くも、スイス・ドイツ・イタリア製機械を導入し、日本初の「原料カカオ豆から製品までの製造ライン」を完成した会社として有名です。1933年からは原料用チョコレートの製造に重点をおき、1964年には別会社にて洋菓子用チョコレートの製造販売も手掛けます。2009年には日清オイリオグループの一員となり、いろいろな種類のクーベルチュールを製造販売しています。

こちらのクーベルチュールの「スイートチョコレート」は、カカオ分約57%で、苦さと甘みのバランスもよく、使いやすく、お値段の方も海外の輸入物に比べるとリーズナブルなので、初心者にお勧めのクーベルチュールです。

テキスト(お菓子づくり講座③p8)にも土屋先生も書かれていますが、作業するにはカカオ分が55%〜60%程度のものが扱いやすいとされています。カカオ分が70%以上となるとカカオバターの比率が多くなり分離しやすく、また固まる力も強くなるので作業もしにくいのです。また苦みも強くなるので、一般に受け入れられる味わいのスイーツを作るにはあまり向かないのです。


3、カカオバリー https://www.cacao-barry.com/ja-JP


プロではないけれど、やっぱり、ヨーロッパのクーベルチュールを使ってみたいという方にお勧めなのが「カカオバリー」。1842年創立のフランスのクーベルチュールのメーカーです。1996年にベルギーのクーベルチュールのメーカー「カレボー」と合併し、現在は、スイス、チューリッヒに本拠を置く「バリーカレボー」グループの中核会社となっています。

カカオバリーのチョコレートは、フランスのパティシエが多く使っており、実は私がお菓子をならったコルドンブルーの実習でもこちらのクーベルチュールを使っていました。授業で使って、なじみがあるからという理由もありますが、素直な味わいで、お値段も手頃なので、今でも愛用しています。

私のお勧めはこちらの「エクセランス」。同社のヒット商品といってもいいでしょう。カカオ分55%で作業性も抜群、香りもよく、いろいろなフルーツやスパイスとも相性が良い万能選手といった感じがします。


4、その他のメーカー 

もちろん、そのほかにもさまざまなクーベルチョコレートのメーカーがあります。フランスでは、先のヴァローナ、カカオバリーのほかにもヴェイス、DGFが有名ですし、ベルギーでは、カレボー、ベルコラーデ。スイスでは、カルマ。イタリアでは、最近プロに人気のあるドモーリなど・・ またいつか機会があればお話しましょう。

(クーベルチュール 終わり)

プロフィール:
猫井 登(ねこい のぼる)
1960年、京都生まれ。早稲田大学法学部卒業後、大手銀行に勤務。退職後、服部栄養専門学校調理師科で学び、調理師免許を取得。ル・コルドン・ブルー代官山校で、菓子ディプロムを取得。その後、フランスのエコール・リッツ・エスコフィエ、ウィーン、ロンドン等で製菓を学ぶ。著書:「お菓子の由来物語」(幻冬舎ルネッサンス)、「スイーツ断面図鑑」(朝日新聞出版)、「お菓子ノート」(新人物往来社)ほか。
日本創芸学院「コーヒーコーディネーター養成講座」テキスト「コーヒーショップの経営」について執筆を担当、「飲食店開業セミナー」講師も務める。

◇◇◇

このメルマガは、日本創芸学院の「お菓子作り講座」をご受講いただいた方にお送りしています。

お問い合わせ:学習サービス課 swinfo@sougei.co.jp





Back Number
バックナンバーはこちら