Sweets Specialist's WEB MAGAZINE

<猫井登のスイーツ面白事典>

vol.4
キャロットケーキ

そろそろゴールデンウィーク!
お休みを利用して海外旅行に行かれる方も多いのではないでしょうか。

海外に行かれたら、名所旧跡などのいわゆる観光地を訪ねることが多いと思いますが、時間があったら、是非マーケットにも足を運んでみてください。海外では週末などには広場に市がたち、野菜や果物、肉やパンなど、さまざまなものが売られています。

海外のマーケットを見学して驚くのは、日本とは果物や野菜の旬が異なるということ。たとえば、苺は日本では11月頃から翌年の5月頃に店頭に並びますが、海外では苺と言えば、夏のもの。ストロベリー、ラズベリーなど、いわゆるベリー類は夏のものなのです。

野菜も同様で、にんじんは、日本では9月ごろから翌年の2月頃が旬とされていますが、イギリスなどでは5月頃に新にんじんが店頭に並びます。このころのスイーツといえば、キャロットケーキ!
日本ではあまりポピュラーではありませんが、ヨーロッパでは、キャロットケーキは通年見られるスイーツです。

 

にんじんは糖質が高いことから、砂糖がまだ非常に高価でまだまだ一般的ではなかった時代、お菓子作りによく用いられていました。一説ではキャロットケーキは中世の頃より食べられているともいわれる古いお菓子です。

テンサイいわゆる砂糖大根から砂糖が作られるようになり、砂糖が比較的入手しやすくなってからも 第二次世界大戦中などは、配給制となり、にんじんの甘味を利用して作られるキャロットケーキは幾多の時代を経て、愛され、食べ続けられています。

トッピングとしては、アイシングのほか、クリームチーズを使うのが一般的です。ヨーロッパのパティスリーでは、マジパンで作った小さなにんじんをのせたものが多く見られますが、家庭では、シンプルにくるみなどをのせたものが多いようです。

さまざまなレシピがありますが、バターではなく、菜種油やオリーブ油などいわゆる植物性油脂を使ったレシピも多く、製菓用のバターの入手が難しい場合でも作りやすいお菓子で、野菜を使うヘルシーなお菓子でもあるので、一度、キャロットケーキ作りに挑戦してみてはいかがでしょうか。

プロフィール:
猫井 登(ねこい のぼる)
1960年、京都生まれ。早稲田大学法学部卒業後、大手銀行に勤務。退職後、服部栄養専門学校調理師科で学び、調理師免許を取得。ル・コルドン・ブルー代官山校で、菓子ディプロムを取得。その後、フランスのエコール・リッツ・エスコフィエ、ウィーン、ロンドン等で製菓を学ぶ。著書:「お菓子の由来物語」(幻冬舎ルネッサンス)、「スイーツ断面図鑑」(朝日新聞出版)、「お菓子ノート」(新人物往来社)ほか。
日本創芸学院「コーヒーコーディネーター養成講座」テキスト「コーヒーショップの経営」について執筆を担当、「飲食店開業セミナー」講師も務める。

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