Sweets Specialist's WEB MAGAZINE

<猫井登のお菓子修業日記>

vol.57
レストラン・デセール その2

<デモ開始>
今回も前回に引き続き、レストラン・デセールを作ってもらう。 今日は、「ブランマンジェのミルクスープ仕立て」と「グランマニエのスフレ」を作ってもらう。

ブランマンジェとは、直訳すると「白い食べ物」の意味だ。18世紀後半~19世紀に天才料理人アントナン・カレームが広めたお菓子ともいわれている。作り方は、簡単だ。鍋に牛乳、アマレット(アーモンドの風味のリキュール)、と砂糖を入れて温めて、ゼラチンを入れて冷ましておく。それに泡立てた生クリームを合わせて混ぜ、容器に入れて冷蔵庫で冷やせばよい。

ブランマンジェに添えるミルクスープは、クレーム・アングレーズ(カスタードのゆるいもの)に牛乳を1:2の比率で混ぜて作る。

次にスフレだ。作り方自体は簡単だが、作るタイミングをまちがえると、しぼんでしまう。
客にベストの状態で出すには、出すタイミングから逆算して作り始めることが大切だ。
こういったことは、レストラン・デセール固有のテクニックなのでしっかりと学んでほしい。

作り方としては、まずクレーム・パティシエール(カスタードクリーム)を作っておく。
出すタイミングに合わせて、卵白と砂糖でしっかりとしたメレンゲを作る。クレーム・パティシエールとメレンゲを混ぜたら、ココット(スフレ用の白い容器)に入れてオーブンで焼く。しっかりと膨らんで上に焼き色がついたらOKだ。すぐに客に出せるように皿などは準備しておこう。

<実習開始>
今日もお仕置きマダムと共同作業。。。
作業を分担し、マダムがブランマンジェを作っている間に、私がスフレに使うクレーム・パティシエールを作ることにする。どちらも難しくはないので、作業は順調に進む。

スフレが膨らまなかったりすると、マダムにどんなお仕置きをされるか、わからないので
メレンゲは2人で作り、各自混ぜてココットに流し込み、オーブンへ。

スフレがオーブンに入っている間に、ブランマンジェを皿に盛り、周りにスープを流す。
スフレの皿と付け合せのオレンジピールのグランマニエ漬けをスプーンにすくって用意しておく。

スフレが綺麗に膨らんで完成!すぐに皿にのせて、ブランマンジェとともに、先生のところに採点をしてもらいに走る。

採点も無事終了し、ほっと一息。マダムと一緒に自分たちが作ったものを試食する。
まずは、スフレ。まあ、無難な味。それにしても、本当にすぐしぼんでしまうので、
まさしくレストラン・デセールならではの、はかないデザートだ。

次にブランマンジェを試食。
「??? なんか、アーモンドの味がしないなあ・・」
マダムが一人で作ったことを忘れ、つい、独り言が出てしまったが・・
「あんた、なに言ってるのよ!! 私はちゃんと分量通りアマレット入れたわよ。
 きっとレシピが悪いのよ! ○*※×*・・・」
怒り狂うマダム。

あ~怖かった(笑)。

皆さんも、ほかの人が作ったお菓子の感想をいうときは注意して下さいね。

 
*写真でブランマンジェの上部が欠けているのは、先生が試食されたあとに写真を撮ったためです。


しぼんでしまったスフレ。


つづく

プロフィール:
猫井 登(ねこい のぼる)
1960年、京都生まれ。早稲田大学法学部卒業後、大手銀行に勤務。退職後、服部栄養専門学校調理師科で学び、調理師免許を取得。ル・コルドン・ブルー代官山校で、菓子ディプロムを取得。その後、フランスのエコール・リッツ・エスコフィエ、ウィーン、ロンドン等で製菓を学ぶ。著書:「お菓子の由来物語」(幻冬舎ルネッサンス)、「スイーツ断面図鑑」(朝日新聞出版)、「お菓子ノート」(新人物往来社)ほか。

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