Sweets Specialist's WEB MAGAZINE

<猫井登のお菓子修業日記>

vol.54
3種のプチフール

<デモ開始>
今日は3種類のプチフール(一口大のお菓子)を作る。

1つ目は、「マカオ」というお菓子で、チョコレート風味のクッキーにヌガティーヌ(キャラメルにアーモンドを入れたもの)を入れ込み、チョコクリームをサンドしたものだ。まずクッキー生地はバターと粉類をすり合わせて(この作業をサブラージュという)、これに卵を合わせて生地がまとまったら、一度ラップして冷やしておく。

ヌガティーヌは、バター、水、水あめ、さとうを鍋に入れて溶かし、アーモンドダイス、カカオパウダーを入れ、混ぜる。台の上にオーブンペーパーを敷いて、そこに平たく流してオーブンペーパーをかぶせてめん棒で薄く伸ばして冷やす。

生地を型で抜く。1つは花形で中央に穴をあける。もう1つは穴はなし。
ヌガティーヌも型で抜き、クッキーの穴に埋め込む。そのままオーブンへ入れ、しっかりとくっつける。

チョコレートクリームを作り、穴のあいていないクッキーの上に絞り、真ん中にヌガティーヌを入れ込んだものをかぶせてサンドする。

2つ目は、「マカロン」だ。これはアーモンドパウダー、粉砂糖にメレンゲを合わせて生地を作り、今日はパッションフルーツのパート・ド・フリュイを挟む。パート・ド・フリュイは、ピューレにペクチンや砂糖、水あめを合わせて作る。

3つ目は「グリオッティーヌ」。これは柔らかくしたマジパンの中にグリオット(さくらんぼのシロップ漬け)を入れて焼いたもの。口金のついた絞り袋にマジパンを入れてグリオットを包むようにして作る。

<実習開始>
相変わらず、あまりやる気が湧かない日々が続いている。スランプか。お菓子作りに飽きてしまったのか。

例によって、お仕置きマダムと共同作業。小さな菓子たちだが、パーツが多く、意外に手間がかかるのでパーツ毎に分担を決めて、作業を進めていく。

私は、マカロンの生地を担当。久々にマカロンの皮を絞る。あとは焼成すれば作業は、ほぼ完了。マカロンは最初、高温のオーブンで焼いて、ピエ(生地の周囲のゴワゴワ部分)が出たら、低温のオーブンに移して焼くのだが。。。

ピエが??
いつまでたってもピエが出ない??
なんで????

「ちょっとー、ピエが出ないじゃないのよ!」
「・・・・」
一旦、オーブンから取り出して生地の様子を点検することに。なぜか、生地は、パキンパキン。なんで??
「ちょっと、何をやってんのよ!怒、怒、怒」
「どうしたんだろう??」
「どうしたんだろう、じゃないでしょ!!! 怒、怒、怒」
「ひぇ~」
「あんた、最近おかしいわよ。あたしが、作り直すから」

というわけで、 今日も、お仕置きマダムに怒られっぱなし。
いつになったらスランプから脱出できるのか。。。

 

つづく

プロフィール:
猫井 登(ねこい のぼる)
1960年、京都生まれ。早稲田大学法学部卒業後、大手銀行に勤務。退職後、服部栄養専門学校調理師科で学び、調理師免許を取得。ル・コルドン・ブルー代官山校で、菓子ディプロムを取得。その後、フランスのエコール・リッツ・エスコフィエ、ウィーン、ロンドン等で製菓を学ぶ。著書:「お菓子の由来物語」(幻冬舎ルネッサンス)、「スイーツ断面図鑑」(朝日新聞出版)、「お菓子ノート」(新人物往来社)ほか。

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