Sweets Specialist's WEB MAGAZINE

<猫井登のお菓子修業日記>

vol.53
苺とミントのケーキ

<デモ開始>
今までずっとチョコレート関連のお菓子が続いたので、今日は苺とミントのケーキを作ってみよう。単に苺のムースとミントのババロワを重ねるだけでは芸がないので、今回は、シュトロイゼルを用いて作る。

シュトロイゼルとは、小麦粉、アーモンドパウダー、粉砂糖、バターを混ぜ合わせて、そぼろ状にしたもので、ドイツ菓子でよく見られるものだが、焼くとカリカリ感というか、ガリガリ感が出て食感のアクセントとなるのでフランス菓子にも用いられる。

作り方は単純で、まず4つの材料を同割(同じ重さ)で用意する。小麦粉、アーモンドパウダー、粉砂糖をふるい、そこにバターを入れて粉類とこすり合わせるようにする。全体がそぼろ状になれば完成だ。これを平に伸ばして150℃のオーブンで15分程度焼けばよい。

もう1つの生地はジョコンド生地を用いる。これはスポンジ生地の小麦粉をアーモンドパウダーに置き換えた生地で薄く焼く。焼き過ぎてせんべいみたいにかたくならないように注意しよう。

次は苺のムースだ。いちごのピューレに砂糖、ゼラチンを合わせて泡立てた生クリームを合わせて作る。

ミントのババロワは牛乳に刻んだミントの葉を入れて煮出し、卵黄、砂糖を加え、ミントのリキュールを加えて香りをつけ、ゆるく泡立てた生クリームを加えて作る。

組み立てとしては、長方形のキャードル(高さのある金属の枠)に下から順に
シュトロイゼル、苺ジャム、ジョコンド生地、ミントのババロワ、ジョコンド生地、苺のムースと重ねて冷やし固める。

仕上げにグラサージュ(つや出し用ゼりー)に苺のピューレを混ぜたものを苺のムースの上に流し、苺とミントの葉を飾れば完成だ。

<実習開始>
なんだか1つ1つの作業を行うのがしんどい。ずっと緊張してやってきたチョコレートがひと段落し、気が抜けて、今までの疲労がどっと出てきた感じだ。

お仕置きマダムと共同作業で生地を作り、なんとかお菓子を作っていく。2人ともあまりミントは好きではないので、分量を少なめにしてミントのババロワを作る。

作る人間の気持ちを反映してか、デコレーションの苺やミントにも元気が感じられない(笑)。

しかし疲れて休んでいるわけにはいかない。上級クラスもあと10回ほど。そろそろ卒業製作のケーキの構想を練らなければならない時期が訪れつつある。みんなどんなケーキを作るのだろうか。またパティスリー巡りをしてみるか・・・。

 

つづく

プロフィール:
猫井 登(ねこい のぼる)
1960年、京都生まれ。早稲田大学法学部卒業後、大手銀行に勤務。退職後、服部栄養専門学校調理師科で学び、調理師免許を取得。ル・コルドン・ブルー代官山校で、菓子ディプロムを取得。その後、フランスのエコール・リッツ・エスコフィエ、ウィーン、ロンドン等で製菓を学ぶ。著書:「お菓子の由来物語」(幻冬舎ルネッサンス)、「スイーツ断面図鑑」(朝日新聞出版)、「お菓子ノート」(新人物往来社)ほか。

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