Sweets Specialist's WEB MAGAZINE

<猫井登のお菓子修業日記>

vol.46 チョコレート その5

<デモ開始>
今回は、チョコレートを使った、さまざまな飾りを作ってもらう。
チョコレートは、飴細工と並びピエスモンテ(組み立て菓子、工芸菓子)の大会が多く開かれており、色々な技法が考案されている。

チョコレートの飾りを作れるようになると、アントルメ(ホールケーキ)の上に飾って、デコレーションを華やかにすることが出来る。

一番簡単で、色々な模様を自由に描くことが出来るのが、コルネにテンパリングしたチョコレートを入れて絞り出す方法だ。まずは紙を円錐状にきっちりと巻いてしっかりとしたコルネを作ることが肝心だ。

コルネを作るのが苦手な人は、百円ショップで売っているクリーム用の絞り袋の先の部分を使ってもよいし、チョコペンなどを使ってもいいだろう。

コルネの先を切り、まずはグルグルと円を書くように絞り出してみよう。これだけでも、ちょっとした飾りになる。慣れてきたら、葉っぱやサインなどに挑戦してみよう。

 

次はセロハンなどツルツルしたシートの上に、テンパリングしたチョコレートを流してパレットで薄く平らに延ばしてから模様を描くやり方。

 

コーム(櫛(くし)の意味。三角形の各辺に均等の溝がある)と呼ばれる道具を使って、模様をつけて、そのあとに割りばしなどを使って模様をつけてもよい。コームは、チョコレート用にプラスチック製のものが使われるが、クリームに模様をつけるための金属製のものがやはり百円ショップで売られているのでそれを使ってもよい。気に入ったものがなければ、厚紙の端を切って均等に溝模様をつけたものでチョコレートをなぞってもよい。

ケーキ用パレットがあれば、先にチョコレートをつけて、セロハンに押しつけるようにすれば、飾りになる。この飾りは単純だが、よくケーキの側面を飾るのに使われるものだ。

チョコレートに茶碗をかぶせて、その周りを割りばしでなぞれば、綺麗な円形になるし、指で模様を描いても良い。専門の道具などなくても、いくらでも飾りは作れるので、家にある道具を使って独創的な模様作りに挑戦してみて欲しい。


<実習開始>
お仕置きマダムと仲良く(?)チョコレートのテンパリング作業をしたあとは各々で、色々な飾りを作ってみる。のちにボンボニエール(チョコレートで作る小箱)の飾りに使うことになるので練習にも力が入る。

私は、製菓材料店で見つけた「転写シート」を使ってチョコレートに模様をつけてみる。これは転写シートの上にテンパリングしたチョコレートを流し、固まってからシートをはがすとシートの模様がチョコレートに写っているというもの。

Tシャツに模様をつけるアイロンプリントと似たような原理だ。
「ちょっと、あんた。面白いもの持っているじゃない?私もやらせてよ~」
転写シートを1枚、お仕置きマダムに奪い取られる。
1枚500円くらいしたのに。金払え~(笑)


つづく

プロフィール:
猫井 登(ねこい のぼる)
1960年、京都生まれ。早稲田大学法学部卒業後、大手銀行に勤務。退職後、服部栄養専門学校調理師科で学び、調理師免許を取得。ル・コルドン・ブルー代官山校で、菓子ディプロムを取得。その後、フランスのエコール・リッツ・エスコフィエ、ウィーン、ロンドン等で製菓を学ぶ。著書:「お菓子の由来物語」(幻冬舎ルネッサンス)、「スイーツ断面図鑑」(朝日新聞出版)、「お菓子ノート」(新人物往来社)ほか。

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