Sweets Specialist's WEB MAGAZINE

<猫井登のお菓子修業日記>

vol.45 チョコレート その4

<デモ開始>
前回に続き、中身を殻で包むタイプのボンボンショコラを作ってもらう。前回は型を使い、あらかじめ殻の部分を作ってから中身を注入し蓋をするやり方で作ってもらった。今回は前回とは反対に、中身を先に作り、それにチョコレートを上掛けしていくやり方で作ってもらう。

上掛けするやり方は、フランスでよく使われる方法で、型抜きにするタイプのものに比べ、殻の部分を薄くできるので、口溶けをよくすることができる。このタイプのものは、ガリガリと噛まなくても、口にしばらく含んでいれば外側がすぅーっと溶けていくのでエレガントだ。ただ、中身を先に作る関係で、中身は固められるものに限定される。

今日は、①りんごキャラメルのホワイトチョコクリームと②バニラのチョコレートクリームの2層を中身にした上掛けタイプのボンボンショコラを作ってもらう。

まずは、生クリームを軽く沸騰させておき、砂糖をキャラメル化させたものに少しずつ入れていく。合わせるとき、かなり蒸気が出るので注意。キャラメルクリームが出来たら、ホワイトチョコレート、カルバドス(りんごのお酒)と合わせる。

セロハンの上に正方形の金属型を置いて、りんごキャラメルのクリームを流し込んで冷やし固める。

次にバニラのチョコレートクリーム。こちらは生クリームにバニラビーンズなどを合わせて温めて、ブラックチョコレートと合わせる。クリーム状にして冷ましたら、先ほど冷やし固めたりんごキャラメルのクリームの上に流し、2層にして再度冷やし固める。

しっかりと固まったら、型からはずして、均一な正方形にカットしていく。これをチョコレートフォークにのせて、テンパリングしたチョコレートにつけて上掛けをする。チョコを静かにおいてから、表面に軽くフォークをあてて、すっと持ち上げると3本線の模様がつく。

<実習開始>
今日も楽しい(?)、お仕置きマダムとの共同作業。
今回は平和にジャンケンをして作業分担を決める。私がキャラメルクリーム、マダムがバニラチョコクリームに決まった。
キャラメル化させた砂糖に、生クリームを入れると、一瞬でぶくぶくと鍋の上まで泡が出て、たじろぐ。
「なに、ビビッってんのよ!失敗したら、お仕置きだからね~」
相変わらずのスパルタパートナー(笑)
なんとか、完成させ、型で冷やし固める。

バニラのチョコレートクリームは平和に完成し、中身の準備はOK。
正方形に切り、テンパリングしたチョコレートにつけていく。
ショコラティエになった気分で作業するが、先生がしたようには上手くいかない。

十分に余分なチョコレートを落とさないとチョコを置いたあと、まわりにデレ~とチョコが広がっていく。置くときに乱暴に衝撃を与えても同じ。結構神経を使う作業だ。3本の模様もフォークの当て方が悪いと上手くつかない。

名ショコラティエへの道は険しい(笑)


つづく

   

プロフィール:
猫井 登(ねこい のぼる)
1960年、京都生まれ。早稲田大学法学部卒業後、大手銀行に勤務。退職後、服部栄養専門学校調理師科で学び、調理師免許を取得。ル・コルドン・ブルー代官山校で、菓子ディプロムを取得。その後、フランスのエコール・リッツ・エスコフィエ、ウィーン、ロンドン等で製菓を学ぶ。著書:「お菓子の由来物語」(幻冬舎ルネッサンス)、「スイーツ断面図鑑」(朝日新聞出版)、「お菓子ノート」(新人物往来社)ほか。

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