Sweets Specialist's WEB MAGAZINE

<猫井登のお菓子修業日記>

vol.44 チョコレート その3

<デモ開始>
今日は、ホワイトチョコを使い、パッションフルーツのボンボンショコラを作ってもらう。ボンボンショコラとは、一口大のチョコレートの総称で、前回作ったマンディアンやトリュフも含まれるが、今回と次回は中身を殻で包んだタイプのものを作ってもらう。

中身を殻で包むやり方には、2通りある。1つ目は型を使い、あらかじめ殻の部分を作ってから中身を注入し蓋をする方法だ。いわゆる型抜きチョコといわれるものでベルギーのチョコレートに多く見られる。

この方法には、①型を使うのでいろいろな形に作れる ②先に殻の部分を固めてから中身を入れるので、中身に流動性の高いものを使うことができるなどのメリットがある。反面、殻の部分が、次回教える上掛けタイプのものに比べて厚くなり 食感が固くなるという欠点がある。

ショコラティエは、中身や目指す食感に合わせて、型抜きと上掛けの方法を使い分け、両方のタイプのショコラを作る。

今日は、まず型抜きのチョコの方法をしっかりと身につけて欲しい。
手順としては、まず ①テンパリングしたチョコレートを型に注ぎ込む ②型をひっくり返して余分なチョコレートを落とす ③しっかり固める ④中身を注入して固める ⑤テンパリングしたチョコレートを流し、蓋をする ⑥固める。

<実習開始>
テンパリングも今日で3回目。
「今日は私がテンパリングやるから、あんた助手ね!」
「はい。わかりました。」
相変わらずお仕置きマダムが主導権を握っての共同作業(笑)

型抜きチョコは、型がしっかりできないとお話にならない。いつもにも増して 慎重にテンパリングを行う。ホワイトチョコは、ブラックに比べて融解温度が低いので注意が必要だ。40℃くらいで溶かし、一旦24℃くらいまで下げて27℃くらいまで少し上げる。最後に温度を上げるときに上げ過ぎないように注意して テンパリングを行う。

型に流しこんで、パレットの柄の部分などでトントンと型をたたき余分なチョコを落とす。固めているあいだに中身のパッションフルーツのガナッシュ(チョコレートクリーム)を作る。ホワイトチョコはブラックに比べると甘いので、パッションフルーツ、レモン、フランボワーズなど酸味の強い素材を使ったクリームと合う。

中身を固まった殻の部分に流し込んでいく。このとき中身を冷ましてから入れないとせっかく固まった殻の部分のチョコが溶けてしまうので慌ててはいけない。 中身が固まったところで、テンパリングしたチョコを流して蓋をして三角パレットで綺麗にならして固める。

固まったところで型からはずす。テンパリングが上手く出来ていないと型にくっついて上手く型からとれないが、やった!上手くとれた!大成功だ!!

だんだん、お仕置きマダムとの呼吸も合ってきた!?


つづく

   

プロフィール:
猫井 登(ねこい のぼる)
1960年、京都生まれ。早稲田大学法学部卒業後、大手銀行に勤務。退職後、服部栄養専門学校調理師科で学び、調理師免許を取得。ル・コルドン・ブルー代官山校で、菓子ディプロムを取得。その後、フランスのエコール・リッツ・エスコフィエ、ウィーン、ロンドン等で製菓を学ぶ。著書:「お菓子の由来物語」(幻冬舎ルネッサンス)、「スイーツ断面図鑑」(朝日新聞出版)、「お菓子ノート」(新人物往来社)ほか。

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