Sweets Specialist's WEB MAGAZINE

<猫井登のお菓子修業日記>

vol.40 オレンジ風味のキャラメルのビュッシュ

<デモ開始>
今日は、オレンジ風味のムースのビュッシュを作ってもらう。 ビュッシュとは、ビュッシュ・ド・ノエルのように薪型のケーキをいう。まずはトヨ形をした型を用意し、そこにビスキュイ・ジョコンドを敷き込み、オレンジ風味のムースと冷やし固めたキャラメルのクレムーと生地を交互に入れていく。全体を冷やし固めたら、型から逆さにして出して網の上でキャラメルをかける。

生地のビスキュイ・ジョコンドは、何度も作っているし、キャラメルのクレムーもオレンジのムースも1つ1つの手順をキチンとやれば、問題はない。ムースに使用するパータ・ボンブは、卵黄に砂糖を加え、もったりとするまで混ぜたものにシロップを加えるもので、言ってみれば、イタリアンメレンゲの卵黄版といえるもので、コクを出すために加える。

<昼休み>
中級クラスの試験日を翌日にひかえ、話題は試験のことで、もちきり。
「試験課題を2つに絞ってくれたのは、ありがたいよね~」 
「でも、カシス・ヴァニーユとマング・パッションって、外見は似たケーキだけど、
マング・パッションの方は、ムースにイタメレを使うから、面倒だよね~」
  「カシス・ヴァニーユ方に当たらないかな~」
この時点では、まさか翌日、自分が製菓人生最大のピンチ?に陥るとは夢にも思わず談笑していたのであった。(次回に乞うご期待!)

<実習開始>
まずは、ジョコンド生地を仕込みオーブンへ。そのあとキャラメルのクレムーを作り、こちらは冷蔵庫へ。焼き上がったジョコンド生地を取り出し、冷ましておく。
オレンジのムースを仕込む。生地を型に敷き込み、ムース、クレムー、生地を交互に入れ込み、冷やし固める。 フロランタンの材料を合わせて、オーブンへ。

その間、後片付け。
ケーキを取り出し、固まっているのを確認し、デコの準備を始めるが!?
ヤバイ!! フロランタンのことをすっかり忘れていた!!
慌てて、オーブンから、取り出したときは黒コゲ寸前。
ま、なんとか使えるか。

全体にキャラメルをかけてホワイトチョコのデコを施し、側面にフロランタンを貼り付けるが、他の人よりかなり色が濃い。というか焦げている(笑)明日は試験だというのに、大丈夫かぁぁぁぁ~。

つづく

 

プロフィール:
猫井 登(ねこい のぼる)
1960年、京都生まれ。早稲田大学法学部卒業後、大手銀行に勤務。退職後、服部栄養専門学校調理師科で学び、調理師免許を取得。ル・コルドン・ブルー代官山校で、菓子ディプロムを取得。その後、フランスのエコール・リッツ・エスコフィエ、ウィーン、ロンドン等で製菓を学ぶ。著書:「お菓子の由来物語」(幻冬舎ルネッサンス)、「スイーツ断面図鑑」(朝日新聞出版)、「お菓子ノート」(新人物往来社)ほか。

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