Sweets Specialist's WEB MAGAZINE

<猫井登のお菓子修業日記>

vol.50 
ホワイトチョコと赤い実のアントルメ

<デモ開始>
前回はブラックチョコレートとナッツのアントルメだったので、今回はホワイトチョコレートと赤い実を使ったアントルメを作ってもらう。
構造としては、いちご、カシス、フランボワーズなどの赤い実を合わせて作ったコンポートのディスクと、いわゆるフィンガービスケット用のキュイエール生地を丸く焼いたものをホワイトチョコのムースで包んだものだ。

まず、赤い実のディスクを作る。先ほどの3種の赤い実にフランボワーズのピューレと砂糖を合わせて火にかけて、トロッとなったら火を止めて戻したゼラチンを入れて、底にラップを貼った16㎝のセルクル(丸い金属の輪)に流し込み冷やしておく。

次にビスキュイ生地を作る。卵白をしっかり泡立てるのがポイントだ。これを渦巻のようにして直径16㎝以上になるように丸く絞って焼く。

ムースを作る。生クリームとホワイトチョコを合わせたものにゼラチンを入れる。
そこにパータボンブを加える。パータボンブとは直訳すると「爆弾生地」!「卵黄」に熱いシロップを加えて混ぜたものだ。コクを出すために使われる。これに泡立てた生クリームを混ぜてムースは完成だ。

ここで復習。
パータボンブは<卵黄+熱いシロップ>。では泡立てた<卵白+熱いシロップ>は何か?答えはイタリアンメレンゲ。こちらはシロップで泡立てた卵白の気泡をつぶれないようにして、ムースなどに加えて軽さを出すものだ。

18㎝のセルクルの中に、生地、ムース、ディスク、生地、全体にムースの順番で入れてケーキの組み立てが終わったら冷やし、全体にデコレーション用のグラサージュショコラ(つやのあるチョコレート)をかける。

側面のチョコの飾りを作る。パレットの先にチョコをつけ、オーブンペーパーの上に押し付けるようにすればよい。
側面にチョコを飾って、完成だ。

<実習開始>
えぇ~、今日もペアでの共同作業あり?お仕置きマダムと2人でホワイトチョコのムースを作る。
「ゼラチン入れて! 固まらなかったら、お仕置きだからね」
「ひぇ~」
相変わらず、こき使われる(笑)
ケーキは、なんとか無事完成。
最後に、2人別々にケーキに上掛けするホワイトチョコのグラサージュを作るが、
なんだか、固いような??
ケーキの表面全体にかけるものなので、ユルユルでないと困るが、隣のお仕置きマダムのグラサージュも同じ感じだ。
「これ、なんだか固くない??」
「配合どおりだから、いいんじゃない?」
そう言って、マダムは、ケーキの上に流すが、
「何よこれ!!全然広がらないじゃないの(怒)」
別々に作っていてよかった。危うく、お仕置きされるところだった(笑)

私が作ったグラサージュを先生に見せると、「なんか、固いね」と言いつつ、
生クリームをドボドボと足す。
このレシピ、大丈夫??臨機応変に対応しろって!?。
お仕置きされたら、どうしてくれるんだぁ(笑)

何はともあれ、今日も無事完成してよかった。

 
 

つづく

プロフィール:
猫井 登(ねこい のぼる)
1960年、京都生まれ。早稲田大学法学部卒業後、大手銀行に勤務。退職後、服部栄養専門学校調理師科で学び、調理師免許を取得。ル・コルドン・ブルー代官山校で、菓子ディプロムを取得。その後、フランスのエコール・リッツ・エスコフィエ、ウィーン、ロンドン等で製菓を学ぶ。著書:「お菓子の由来物語」(幻冬舎ルネッサンス)、「スイーツ断面図鑑」(朝日新聞出版)、「お菓子ノート」(新人物往来社)ほか。

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