Sweets Specialist's WEB MAGAZINE

<猫井登のお菓子修業日記>

vol.49 
ヘーゼルナッツとチョコレートのアントルメ

<デモ開始>
チョコレートとマジパンの学習が終わったので、今日からは再びケーキを作ってもらう。今日はヘーゼルナッツとチョコレートのアントルメ(ホールケーキ)だ。

構造としては、クリームの中にチョコレートクリームをサンドしたヘーゼルナッツのダコワーズを入れていく。

まずは、ダコワーズにはさむチョコレートの部分を作って冷蔵庫で冷やし固める。
次はダコワーズの生地作りだ。通常はアーモンドの粉で作るが、ヘーゼルナッツの粉を使い、粉砂糖、小麦粉とともにメレンゲに合わせて作る。メレンゲの泡をつぶさないように注意しよう。出来たら生地を丸く抜いてチョコレートをはさむ。

最後は、クリームだ。牛乳を沸騰させ、卵黄、砂糖、コンスターチなどを合わせて、プラリネを混ぜて冷やしておく。あとで生クリームを加えて完成する。

今日の山場は飾りだ。まずはチョコレートのバタークリームをセロハンの上に薄く伸ばして、トライアングルで波模様をつけて一旦冷やす。冷えたら取り出して、白のバタークリームを波模様のところに入れ込むように伸ばして、再度冷やす。

いよいよ組み立てだ。逆さに仕込んでいく。上の波模様のバタークリームのセロハンを取り出し、その上に直径18センチのセルクル(高さ4.5センチの丸い金属の輪)をおいて強く押し付ける。その上にクリームを流し込み、チョコレートクリームを挟んだダコワーズを沈めるように押し込む。クリームを綺麗にならしたら、冷やす。

次はチョコレートの飾りを作る。テンパリングしたチョコレートをセロハンの上に流してならしたらトライアングルで波模様をつける。直径16センチのセルクルを置いて、内側を竹串でなぞって冷やす。これでチョコレートの丸い飾りの完成だ。

最後は、冷えたケーキを取り出して逆さにしてセロハンを静かにはがすと波模様のバタークリームの面があらわれるので、そこにナパージュ(つや出しゼリー)を塗って、チョコレートの輪とキャラメリゼしたナッツを飾れば完成だ。

<実習開始>
ケーキ作りなので久しぶりの単独作業かと思いきや、今日も、お仕置きマダムと共同作業だ。トホホ(笑)。

なんとか土台は無事完成し、二人で、上にのせるチョコレートの飾りを作る。
「ちょっと、しっかり押さえているのよ!ズレたら、お仕置きだからね」
「ひぇ~、わかりました~」
交互に作業し、各々が飾りを作り、固まるまで、しばし待つ。
あとは、チョコレートのかざりをパレットで持ち上げてケーキの上にのせればいいのだが。。。
お仕置きマダムが、パレットを飾りの下に差し込んだまま、固まっている
「どうした???」
「持ち上げたら、チョコレートの飾りが割れそうなのよ~」
どうやら、飾りのチョコレートを薄く伸ばしすぎたらしい。
「貸してみて・・・」
私が一計を案じ、パレットの代わりに台紙を飾りの下に滑り込ませて全体を持ち上げ、そのままケーキの上に滑らせてのせる。
「ありがとう、あんた、意外に器用じゃん!」
(「意外に」が、余計なんだよ~笑)
しかし、上手く出来てよかった~
失敗していたら、<血の雨>が降っていたかもしれない!?(大笑)

 

つづく

プロフィール:
猫井 登(ねこい のぼる)
1960年、京都生まれ。早稲田大学法学部卒業後、大手銀行に勤務。退職後、服部栄養専門学校調理師科で学び、調理師免許を取得。ル・コルドン・ブルー代官山校で、菓子ディプロムを取得。その後、フランスのエコール・リッツ・エスコフィエ、ウィーン、ロンドン等で製菓を学ぶ。著書:「お菓子の由来物語」(幻冬舎ルネッサンス)、「スイーツ断面図鑑」(朝日新聞出版)、「お菓子ノート」(新人物往来社)ほか。

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