Sweets Specialist's WEB MAGAZINE

<猫井登のお菓子修業日記>

vol.48 ボンボニエール

<デモ開始>
今回は、ボンボニエールを作る。ボンボニエールとは、綺麗でオシャレな小型のキャンディー缶や壺などの容器のことだ。ここではチョコレートで小箱を作ってもらう。

みんなには、2種類作ってもらう。土台の箱の部分は同じだが、1つはチョコレートでデコレーションを行ったもの、もう1つはマジパンでデコレーションをしたものだ。デザインは各人の自由だ。今までに習得したチョコレートの飾りやマジパン細工の技術を駆使して綺麗なものを作ってほしい。

さて、土台の箱の作り方だが、大きく2つのやり方がある。1つは容器にチョコレートを流し込み、固めて抜く方法。表面がなめらかで抜けるものなら、何でも 型になりうる。以前ボンボンショコラで殻の部分を作ってから中身を入れる方法を教えたが、原理はおなじだ。要は大きな殻を作ると思えばよい。ただ、中身を入れず、殻の部分だけを抜くので割れやすいというリスクがある。

もう1つは、パーツを個別に作り、貼り合わせていくやり方だ。例えば、四角い箱を作るなら、底1枚、側面を4枚、蓋1枚を別々に作り、貼り付けて組み立てていく。まずは板を6枚作り、端の部分を温めた鉄板などに押しつけて溶かしお互いをくっつけていく。

クマ、犬、猫、ウサギ、ブタなどの顔を成型し、スティックで目の部分に穴をあけてグラス・ロワイヤル(粉砂糖に卵白、レモン汁を合わせたもの)を注入して固まったら、チョコレートで目を入れる。


<実習開始>
まずは、チョコレートをテンパリングして、土台となる箱の部分を作る。助手さんにも手伝ってもらい、なんとか完成。ここまでは共同作業なのでいいが、問題は上のデコレーション。

実は、チョコレートのデコレーションは前からやってみたいものがあった。それは転写シートで模様をつけたチョコレートでリボンを作るというもの。転写シートの上にテンパリングしたチョコレートを流し、少し固まってまだ柔らかい間に湾曲させなければならない。理屈は簡単だが、タイミングが難しい。曲げるタイミングが早すぎると形にならないし、遅いと割れてしまう。

上手くできたものを積み上げてなんとか完成!こちらで大半の時間を使ってしまったのでマジパン細工は簡単なものにせざるを得ない。クマをのせてみる。

 

リボン細工の方は、先生にもみんなにも褒められた!!
いつも辛口評価のお仕置きマダムも
「みかけによらず、器用じゃん!」
“みかけによらず”が、余計なんだよ(笑)
「でも、クマがブサイクよね~。胴がないじゃん!それにクマにニンジンって、おかしくない?」
やっぱり、今日も、けなされて終わったのであった。(笑)


つづく

プロフィール:
猫井 登(ねこい のぼる)
1960年、京都生まれ。早稲田大学法学部卒業後、大手銀行に勤務。退職後、服部栄養専門学校調理師科で学び、調理師免許を取得。ル・コルドン・ブルー代官山校で、菓子ディプロムを取得。その後、フランスのエコール・リッツ・エスコフィエ、ウィーン、ロンドン等で製菓を学ぶ。著書:「お菓子の由来物語」(幻冬舎ルネッサンス)、「スイーツ断面図鑑」(朝日新聞出版)、「お菓子ノート」(新人物往来社)ほか。

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