ハーブ・アロマ メルマガ 「佐々木薫先生のエッセイ」
vol.35
アロマで眠りの質を高める
暑さが少し落ち着き、夜も少しは過ごしやすくなって来たかもしれません。今年の夏は、本当に暑かったですね。さて、最近、「睡眠」に関する話題が多いように見受けます。厚生労働省の『平成28年国民健康・栄養調査報告』によると、日本では成人の5人に1人が睡眠に悩みを抱えているそうです。また、睡眠不足が慢性的に続く「睡眠負債」が、知らぬ間に不調の原因となっていることも。
皆さんよく眠れていますか?
なぜ眠らなければいけないか、私も忙しい時は寝る時間も惜しいというタイプですが、睡眠の役割をたどってみると、脳と体を休めるには睡眠が最も重要なようです。
睡眠学が科学的に進められるようになったのは、1953年からとされています。それまでは眠っている間は脳もからだも、すべて停止している状態と考えられていました。
また、脳波の研究が進む中で、睡眠中も脳は活動していることが発見され、さらに、ひと晩の眠りの中で、脳を休めたりからだを休めたり一定のリズムが繰り返され、深い眠り(脳の眠り)がバランスよくとれることで、疲れがとれ、すっきりと目覚められることがわかってきました。それが質のよい睡眠です。「寝ても寝ても眠い」という人も増えているようですが、それも不眠のひとつのタイプ、ぐっすり眠れていないゆえだそうです。
さらに、睡眠中、脳からはホルモンや化学伝達物質が分泌され、細胞の修復、疲労回復、新陳代謝の促進などが行われています。成長ホルモン、幸福ホルモンとよばれるセロトニンの原料となるメラトニンの分泌も、眠っている間に行われています。睡眠がいかに大事かが、どんどんわかって来ました。
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スイートオレンジ精油と睡眠に関する報告があります。オレンジ精油には神経の緊張を緩め、気分をリラックスさせ、眠りを誘う効果があります。親しみのある香りなので、子供からお年寄りまで抵抗無く楽しめます。就寝前にこの香りを嗅ぐと副交感神経の活動が活性化し、就寝中に香りを漂わせると、起床後の副交感神経の活動が有意に低下したという結果があります。リラックスしてよく眠れ、目覚めたときの覚醒度がアップしてスッキリ目覚めていることを示します。質のよい睡眠が、認知症予防にも効果があることもわかっています。
ティッシュペーパーなどに1,2滴精油をしみ込ませ、枕元に置きます。大さじ1杯の蜂蜜に精油を3~5滴混ぜ、お風呂のお湯によく溶かし、ゆっくりつかるのもよいでしょう。私の定番はラベンダーですが、スィートマジョラム、ネロリ、サンダルウッドなどもおすすめです。眠れなかった日も、朝は決めた時間にすっきり起きることが、翌日の質の高い睡眠につながるようです。
さて、今夜も、よい朝を迎えるための旅に出かけませんか?
日本園芸協会 指導部 佐々木薫
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