ハーブ・アロマ メルマガ 「佐々木薫先生のエッセイ」
vol.31
春のデトックスとアーユルヴェーダ
いよいよ春本番。強い風が吹き荒れたり、寒暖の差が激しかったり、春の初めはいつも、お天気が不安定ですが、冬の間縮こまっていた体は徐々に開き、緩んできます。同時に、体内に溜め込んだ余分なものや老廃物を、解毒、排泄しようと動き出します。そのシステムがスムーズに働くようサポートするのが、春を健やかに過ごす秘訣かも知れません。春のテーマは解毒=デトックスです。
スリランカの伝統療法アーユルヴェーダでは、春は「カパ」のエネルギーが高まる季節です。眠気やだるさを感じたり、鼻水やくしゃみが出たりといった不調は、カパの憎悪による現象で、花粉症などはまさにその代表です。
春先に出回る山菜やほろ苦い野菜には、身体を緩め、解毒を促す効果があるといわれます。それらを春に摂ることは、理にかなった習慣と言えます。自然は、必要な時に必要なものを作り出してくれているのです。難しいことでなく、旬のものを食べることが、自然の作り出した健康法ということでしょうか。
たとえば、ヨモギ。野原や河原の土手などに自生しますが、若葉をお餅と混ぜて作る草餅(よもぎ餅)が有名です。食用だけでなく、葉の裏の毛を集めた「もぐさ」をお灸に使ったり、韓国にはよもぎ蒸しという健康法もあります。食物繊維を豊富に含み、腸をお掃除してくれる働きがありますが、血圧を改善したり、コレステロールを下げるともいわれます。外用では切り傷やアトピーの改善にも役立ちます。
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利尿作用と言えば、タンポポ(ダンデリオン)が浮かびますが、まさにこれも春のハーブですね。ヨーロッパでは葉をサラダにして、食べることが知られています。日本でも春には花をお浸しにしたりしますが、最も薬効を持つ根は秋に収穫します。以前、春にミュンヘンの町を訪ねた時は、市場にホワイトアスパラが豊富に出回っていました。ホワイトアスパラも利尿作用が高く、何よりも旬のものは美味しいので、人気があります。香り高いとき、美味しいときが、その植物の持つエネルギーも高まる時で、最も栄養価や薬効も高い時と考えてよいのではないでしょうか。
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アーユルヴェーダでは、カパの季節にはカパを高めないよう、体を冷やさないことを第一とします。夜、帽子をかぶって寝ることなども勧めます。また、緩みすぎないよう、少し刺激のある香り、ユーカリやローズマリーなどを使うことも良しとします。眠くても朝は早く起き、朝日を浴びながら散歩をしましょう。
春はスタートの季節。新しいことにチャレンジする、よいタイミングです。新しいコトをとり入れるには、古いもの、滞っていたものをリフレッシュする必要があります。重いコートを脱ぎ捨て、新しいスタートを楽しみましょう。
日本園芸協会 指導部 佐々木薫
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