herb& aroma mail magazine

ハーブ・アロマ メルマガ 「佐々木薫先生のエッセイ」
vol.26

春のデトックス、タンポポコーヒー

 万物が、美しく生き生きと輝く季節です。新しい仕事や生活を始める方も多いと思いますし、心身共に新鮮になりたい時、冬の間に貯まったものを排出したい時です。

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 春の花はたくさんありますが、最初に春を感じる花と言えばタンポポでしょうか。日本のみならず、世界中で親しまれています。漢方薬としても用いられてきましたが、ヨーロッパでは、最も有用で身近な薬草のひとつです。花、葉、根、あらゆる部位が利用されます。花はサラダやおひたし、ワインに、葉はサラダやビールに用いられてきました。


 ハーブとしては根を使います。肝臓によいことでも知られていますが、秋に収穫できる直根性の長い根が、コーヒーやお茶として使われてきました。苦味配糖体、タンニン、イヌリン等の成分に、強肝、胆汁分泌促進、利尿、抗リウマチ、穏やかな緩下作用があるといわれます。便秘にも効果があり、関節炎、湿疹、ニキビなどの毒素による慢性症状にも用いられます。母乳の分泌をよくしたり、むくみの改善にも役立ちます。

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 最近、「デ・カフェコーヒー」「デ・カフェ紅茶」という言葉をよく耳にします。コーヒーや紅茶等のカフェインを含む飲料から、カフェインを取り除いたものです。カフェインは、適量であれば、覚醒作用、利尿作用があり、集中力アップ、偏頭痛・筋肉疲労の緩和、心機能を高めるといった効果があります。しかし、過剰になると中毒症状を起こしたり、血圧をあげるなどのデメリットがあり、鉄やカルシウムと結合し、排泄を促す作用があるため、鉄分やカルシウム不足を誘発します。特に胎児はカフェインを排出する機能が弱いため、体内に蓄積してしまう可能性もあります。それゆえ、妊娠中、授乳中の女性にデ・カフェコーヒーが人気です。


 タンポポの根をローストして淹れるタンポポコーヒーは、見た目はコーヒーにそっくりですが、ノンカフェイン、逆に肝機能を整える効果があります。コーヒーの代替にも勧められていますが、味はコーヒーとは全く違うため、タンポポコーヒーはタンポポコーヒーとして、その良さを楽しむことをおすすめします。最近はインスタントタイプの市販品までありますが、ハーブティー用に売られているドライの根をローストし、コーヒーミルで挽くのもさほど手間ではないので、一度お試しいただきたいと思います。野原のタンポポの根を収穫することが出来たら最高ですが、直根性で手強く、また生育する環境の状態を確認することも難しいかもしれません。それがクリア出来たら、ぜひチャレンジしてみてください。


日本園芸協会 指導部 佐々木薫



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佐々木 薫(ささきかおる)
プロフィール:
公益社団法人日本アロマ環境協会認定アロマテラピープロフェッショナル。 NHKをはじめテレビ、ラジオの出演多数。 日本園芸協会の通信教育講座「ハーブコーディネーター養成講座」テキスト執筆者。

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日本園芸協会 学習サービス課 aroma@gardening.or.jp




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