ハーブ・アロマ メルマガ 「佐々木薫先生のエッセイ」
vol.25
春の便り、花粉シーズン到来
3月1日、最も香り高いローズ精油の産地ブルガリアには、春を祝う習慣があります。ババ・マルタ(3月のおばあさんの日)と呼ばれ、マルティニッツアという赤と白の毛糸で編んだお守りを、親しい友人や家族の間で贈りあいます。もらったお守りは肌身離さず身に着け、コウノトリや新芽など、春を告げるしるしを見つけたら、見つけた場所のそばの枝にくくりつけるのがならわしです。これが一年の健康と幸せ祈願になります。
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そんな習慣もあるように、冬から春の変わり目は気候が不安定で、体調をくずしやすい時期です。風邪をひいたり、もうひとつの心配事は花粉の飛散です。今や花粉症は国民病と呼ばれるくらいのようですが、飛散量は前年の夏の気象に影響し、前年の夏「気温が高く」「日照時間が多く」「降水量が少ない」と、スギやヒノキの花芽が多く形成され、翌年春の花粉飛散数が多くなるそうです。
昨年の夏は、全国的に気温が高く、東海地方から西は晴天が多かったため、花粉の飛散数は例年を上回り、前シーズンよりも非常に多い予想です。一方、東北・関東・甲信越地方では、気温は高めでしたが、曇りや雨の日も多かったため、飛散数は例年よりやや少なくなりそうです。
スギ花粉のピーク時は、ちょうど年度末の忙しい時期です。解決策としては、食生活を見直し、規則正しい生活、健康管理を心掛け、穏やかな気分で過ごすようにするのが一番です。異動や卒業、入学、転居など、春はストレスの要因がいっぱいです。こんな時こそ、ハーブやアロマでヴァイタル・フォース(生命力)を上げましょう。
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目のかゆみ、くしゃみ、鼻水といった不快症状の緩和には、ユーカリが人気です。中でも花粉症におすすめなのは抗カタル作用をもつグロブルス種やラディアタ種です。同様の作用のあるローズマリー、ペパーミントなどとブレンドして部屋に香らせることで、鼻炎症状、呼吸が楽になります。抗菌作用もあり、気分がすっきりします。この時期はこれらの精油を常に携帯するとよいでしょう。症状が現れたらティッシュペーパーやハンカチに1滴つけて香りを嗅ぎます。マスクの外側に爪楊枝などでほんの少量つけておくのもよいでしょう。練香クリームを作り、胸元に少量塗るのもおすすめです。ただし、ユーカリやペパーミント精油は刺激が強いので、使う量には十分注意してください。特にお子さんには肌への塗付は避けた方がよいでしょう。
花粉症を持つ方には憂鬱な期間ではありますが、美しい季節です。自分なりのストレス解消法を見つけ、意識が外に向けられることをお祈りします。
日本園芸協会 指導部 佐々木薫
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