herb& aroma mail magazine

ハーブ・アロマ メルマガ 「佐々木薫先生のエッセイ」
vol.23

月とハーブ

 中秋の名月を迎え、夜空に浮かぶ月を眺めるのにふさわしい季節になりました。昔から、私たちの心と体は月の影響を受けていると考えられてきました。地球の7割は海、その潮の満ち引きは月の引力によって変わります。私たちの体も6割以上が水でできていることを考えると、海の水同様、月の満ち欠けの影響を受けるのも当然かもしれませんし、女性の月経周期が月が地球を一周する期間とほぼ等しいのも、偶然ではないかもしれません。心身のバランスを整えるために月=天体のリズムを意識することが大いに役立つと、ハーブやアロマテラピーに取り入れている人も少なくありません。

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 新月から満月まで、満ちる月の約14日間は「吸収」の時期、エネルギーを蓄えます。逆に満月から新月までは「放出」、エネルギーを発散する時期です。
 多くの国々で、月のリズムをベースにした太陰暦が、今なお、特に農業で活用されています。またアーユルヴェーダの医師は、薬を作る時期を月の暦で決めたそうです。

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 興味深い月の暦があります。月の位置と農作業、植物の関係を示すものです。月が牡羊座、獅子座、射手座、「火」の星座にあるときは、果実の日で、種まき、収穫に適しています。果実、種を収穫するハーブは満ちる月の間に植えます。牡牛、乙女、山羊座、「土」の星座は根の日。植え付けに向く日で、根の収穫に向いています。ダンデリオンのような根を収穫するハーブ、丈夫な根が必要な多年草や低木は、欠ける月の間に植えるとよいそうです。双子、天秤、水瓶座、「風」の星座にあるときは花の日。雑草取りに向き、植え替えには向きません。花を収穫するのはこの時期の満月または満ちる月の間がいいとされます。蟹、蠍、魚座、「水」の星座は葉の日。この期間の特に月が満ちていくときが葉の収穫に向きます。
 バジルなど葉を茂らすための刈り取りは満ちる月の間に行い、成長を抑えるための剪定は、欠ける月の間に行うとよいと言います。ハーブの植えつけや収穫に意識してみると面白いかもしれません。実際、収穫したものの香りがその時期によって違うのは、月の影響もあるという人もいます。

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 なじみ深い「ヨモギ(属)」の学名「アルテミシア(属)」は、ギリシャ神話の月の女神アルテミスに由来すると言われます。根拠はわかりませんが、女性機能や女性ホルモンのバランスを整え、婦人科疾患の予防や改善が期待できるハーブ、女性になじみ深いハーブゆえということでしょうか。ちなみに、ヨモギ(Artemisia indica)は日本では草餅などにも利用されるハーブですが、その仲間、ワームウッド(Artemisia absinthium)やサザンウッド(Artemisia abrotanum)は虫除けハーブの代表で、得られる精油は、アロマテラピーでは禁忌です。
 秋の夜長、「月」をキーワードに思いを巡らせるのも楽しいでしょう。


日本園芸協会 指導部 佐々木薫



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佐々木 薫(ささきかおる)
プロフィール:
公益社団法人日本アロマ環境協会認定アロマテラピープロフェッショナル。 NHKをはじめテレビ、ラジオの出演多数。 日本園芸協会の通信教育講座「ハーブコーディネーター養成講座」テキスト執筆者。

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日本園芸協会 学習サービス課 aroma@gardening.or.jp




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