ハーブ・アロマ メルマガ 「佐々木薫先生のエッセイ」
vol.22
夏を快適に過ごすアーユルヴェーダの教え
アーユルヴェーダは、インド、スリランカで伝統的に行なわれてきた、最も古い、体系化された医療システムです。中医学(漢方)をはじめ、世界中の伝統医療に影響を与えてきました。アーユルヴェーダとはサンスクリット語の「生命科学」という意味で、言い換えれば、「生きるための法則」、「長生きする方法」です。
アーユルヴェーダの治療は病気を診るのではなく、「人」を診ます。治療は1人1人のオーダーメイドで、同じ病気でもすべての人に効く薬はなく、すべての人によい治療法はありません。アーユルヴェーダは伝統療法でありながら、治療だけでなく、病気を予防し、自然な美しさと健康を促進することを目的とします。心身共に健康で長生きすることをめざし、病気にならないからだをつくることがアーユルヴェーダのテーマです。
アーユルヴェーダ医師の診察は脈をとることから始まります。 |
ポジティブな1日を始めるための朝の日課
アーユルヴェーダには、イキイキとした1日を過ごすため、朝、目覚めた時にすべきことの教えがあります。長い人生も1日1日、一瞬一瞬の積み重ねです。毎日をどんな風に過ごすか、アーユルヴェーダでは食事や運動、睡眠などの生活習慣を治療と同じくらい重視します。
1. 太陽が昇る前に起床
2. ベッドから出る前に自分が今日何をするべきか考える
3. 口の中の洗浄
4. 温かい1杯の白湯を飲む&ガンドゥーシャ(オイルを使ったうがい)
5. 排泄
6. ゴマ油を使ってマッサージ
7. 軽い運動または散歩
8. シャワー
9. 朝食
アーユルヴェーダでは朝の時間をとても大切にします。特に起床は夜明け前、この時間が宇宙の叡智の最も高まる時で、そのエネルギーを吸収することができると信じられています。午前6時までのヴァータの時間帯に起きましょう。夏なら最も実践しやすいと思います。1日の時間や季節、自然から受ける様々な影響をアーユルヴェーダでは重視し、それに即した生活をおくることが健康の秘訣と考えます。
ホテルの朝食のメニューにもアーユルヴェーダの考えがとりいれられています。 |
夏はピッタの季節
夏の暑い季節は激しい運動は避け、涼しい場所で過ごすようにしてバランスをとれば、最もエネルギッシュに過ごせる時期です。人工的に冷たいものをとるのではなく、ナス、キュウリ、バナナといった夏野菜やフルーツを食べるようにします。
アーユルヴェーダの健康法は難しいものでなく、無理をせず、自然のリズムにそって過ごせばよいだけです。たとえば、旬のものを食べる、といったごくあたりまえのことです。しかし、現代の生活は便利になった反面、不自然なものにもなっています。夏でもエアコンのもとで上着を着たり、スーパーには1年中同じ野菜が並びます。知らず知らずのうちに、自然を忘れがちです。
ココナッツオイルはピッタ体質、夏におすすめのオイルです。 |
アーユルヴェーダが重視する個人の「体質」=プラクリティにも「自然」という意味があります。自分の体質を知る、自分の自然を知るということは、自分が何を求めるか、何があうか、自分の声に耳を傾けることです。自然のリズムにそった自分らしい生活、この夏こそ、アーユルヴェーダライフを始めてみませんか?
日本園芸協会 指導部 佐々木薫
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