ハーブ・アロマ メルマガ 「佐々木薫先生のエッセイ」
vol.19
ティートゥリーの活躍する季節
道を行く人のマスク姿が目立つ季節です。空気が乾いてくると流行する風邪やインフルエンザ。特に電車の中やオフィス、学校など、人の集まる場所では、感染予防のための対策が必要かもしれません。
風邪やインフルエンザの予防に役立つアロマでは、ティートゥリーがその代表です。オーストラリアのA.ペンフォールド博士により、ティートゥリー精油は、当時消毒薬として一般的だったフェノールに対し、13倍の殺菌効果があることが報告されています。さらに、強力な殺菌効果があるだけでなく、毒性もなく、皮膚や組織細胞に対する刺激性も少ないという殺菌消毒剤の理想的な条件を満たしているそうです。以来、ティートゥリーは天然の消毒薬としてオーストラリアはもちろん世界中に広まってきました。現在、精油の品質の一貫性を保つために、オーストラリアでは規格が定められ、テルピネン-4-オールの含有量は30%以上、1,8-シネオールは15%以下と定められています。
帝京大学医真菌研究センターの故・井上重治教授の研究では、ティートゥリーの抗菌作用の特徴は、広い抗菌スペクトルを持つことであり、ヘルペスウィルス、肺炎マイコプラズマ、インフルエンザ菌などに有効であると報告があります。ティートゥリー精油をマスクに微量つけ、自然呼吸することが推奨されています。
インフルエンザウイルスは、周囲のヒトのセキやくしゃみ、または電車のつり革など手を介して、鼻やノドの粘膜に侵入してきます。予防の基本である帰宅時の「手洗い」にもティートゥリー精油を活用しましょう。
<石けん①>
無香料の液体石鹸100mlにティートゥリー精油を20滴加え、よく混ぜます。香りを楽しみたい場合はティートゥリー15滴+ラベンダー5滴、またはティートゥリー10滴+ユーカリ10滴。
<石けん②>
MPソープまたは無香料の石けん素地にティートゥリーの精油を加え、抗菌石けんを作ってみましょう。
<抗菌スプレー>
消毒用エタノール50mlにティートゥリー精油10滴加え、よく混ぜます。スプレー容器に入れ、手洗い後、吹き付けます。
カップにお湯を入れ、精油を1、2滴たらし、その蒸気を吸入または漂わせる芳香浴もよいでしょう。ふわっと香りが拡がり、風邪をひいている人の気分を和らげ、周囲への感染予防にもなります。咳が止まらず眠れない夜は、1、2滴ティッシュペーパーなどにしみ込ませ、枕の下に入れるとよいでしょう。
香りの強さは自分が気持ちよいと感じる程度に調節し、刺激を感じたらすぐ止めましょう。香りを楽しみながら行うことが、アロマテラピーの基本です。
日本園芸協会 指導部 佐々木薫
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