ハーブ・アロマ メルマガ 「佐々木薫先生のエッセイ」
vol.14
春こそローズヒップを
春は新しい環境、新しい生活など、「変化」の多い季節です。その変化に対応しようと、身も心も疲れがち、ストレスもたまりやすくなります。この季節にあった、ストレス対応ハーブが、ローズヒップです。
![]() |
ストレスを受けると、体はストレスホルモンを分泌して体の働きを保とうと対処しますが、この合成にビタミンCが消費されます。ストレスが強ければ強いほど、たくさん必要になります。
ストレスを感じると、副腎皮質ホルモン(抗ストレスホルモン)が分泌されます。このホルモンは血糖値を上昇させ、ストレスに対する抵抗力を強めます。ビタミンCは副腎皮質ホルモンの合成促進や、同じくストレス適応に働く副腎髄質ホルモンのひとつ、ノルアドレナリンの合成にかかわっています。そのため不足するとストレスへの適応力が落ち、疲労の原因になったり、免疫力が低下し、風邪をひきやすくなったりします。
ビタミンCの宝庫、ローズヒップ。その果肉にはレモン果汁の約20倍のビタミンCを含有します。ビタミンCは水溶性で熱に弱く壊れやすいのが難点ですが、ローズヒップの果肉はビタミンPやEが含まれ、吸収を助けます。
ご存知のとおり、ビタミンCは肌にとっても有益です。コラーゲンの生成に欠かせません。肌にハリを与え、シミ、しわの予防に役立ちます。コラーゲンは骨の強化やノドや鼻の粘膜を強くして風邪の侵入を防ぐ働きもあります。さらに、ビタミンCはシミやソバカスの原因になるメラニン色素の生成を抑える作用、紫外線に対する皮膚の抵抗力を強めて日焼けを防ぎ、血色や肌のつやをよくする作用も持ちます。
![]() |
いつものハーブティーで楽しんだ後、お茶を出したあとの果実も一緒に食べるのがより効果的です。お湯には溶け出さないビタミンAやEを一緒に摂ることができ、C、E、Aは互いの効果を最大限引き出しあい、体の抗酸化に役立ってくれます。ヨーグルトに入れたり、ジャムのように煮詰めたり、またドライの状態でビネガーに漬けると、ビネガーも果実もおいしく料理に色々と応用できます。
![]() |
混同されがちですが、タネから採油したローズヒップオイルには、皮膚の再生を促すリノール酸、リノレイン酸、オレイン酸、老化した肌や紫外線のダメージを受けた肌を改善するレチノイン酸などの脂肪酸が豊富に含まれます。肌の水分バランスを取り戻し、肌をふっくらやわらかくして弾力性をアップします。美容液のように手のひらに数滴とって、なじませるように塗付するとよいでしょう。
紫外線が気になる季節、ストレスケア&スキンケアにふさわしいビタミン・ハーブです。
日本園芸協会 指導部 佐々木薫
◎このメルマガの文章・写真の転載を禁じます。