herb& aroma mail magazine

ハーブ・アロマ メルマガ 「佐々木薫先生のエッセイ」
vol.13

注目の植物油 ココナッツオイル

 ココヤシの実の白い果肉(胚乳)を搾って採れるのが、ココナッツオイルです。食用としてもおなじみですが、アロマテラピーでは、ヘアオイルや石けん作りの際に利用します。1本のココヤシは年間40~80個の果実をつけ、一番外側の外果皮の内側は丈夫な繊維を含む厚い層(中果皮)からなり、果肉を持ちません。その内側に非常に固い殻(内果皮)に包まれた「仁(Kernel)」があります。厚い繊維の層を持つ構造から、水によく浮かび、海流にのって種子が運ばれ、拡散するのが特徴です。適度な塩分が成長を促すとも言われ、海岸沿いに多く生育するのもそんな理由かもしれません。


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 果実がココナッツです。仁の固い殻の内側周辺部には固形胚乳の層があり、中心部には液状胚乳が入っています。これがココナッツウォーターで、若い実のものが利用されます。ココヤシは、フィリピン、タイ、インドネシア等々熱帯アジアの人々の生活ではとても重要な存在であり、果実、葉、幹、捨てるところがまったくないというほど利用できます。彼らにとって、まさに「生命の木」です。

 固形の胚乳は「果肉」と呼ばれることもありますが、正確にはココナッツの「仁」の果肉です。果肉を削り落とし、水を加えて搾ればココナッツミルクになります。果肉を乾燥させたものはコプラと呼ばれ、化粧品や石けんの原料、そして、一般に出回るココナッツオイルは、コプラを搾ったものです。石けん原料として利用しているココナツオイルも、コプラから採られたものです。主要脂肪酸であるラウリン酸は、泡立ち、洗浄力にすぐれ、洗剤や石けんにとても適しています。

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 今、話題になっているココナッツオイルは、「ヴァージンココナッツオイル」と呼ばれるフレッシュの果肉から搾られたものです。加熱されず、ココナッツの味と香りが楽しめる上質なオイルです。ココナッツオイルのよいところは、豊富に含まれるラウリン酸が中鎖脂肪酸であり、他の食用油に比べてすばやく吸収され、すばやく燃焼してエネルギーに変わるところです。脂肪として沈着することがなく、ダイエットにもつながります。

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 また、脳の働きへの効果も期待されています。脳のエネルギー源はブドウ糖ですが、ココナッツオイルに含まれる中鎖脂肪酸が肝臓で分解されると、「ケトン体」ができ、そのケトン体が、ブドウ糖に代わる脳のエネルギーになることがわかって来ました。ココナッツオイルを摂ることで、脳の健康が保てるというわけです。「ケトン体は脳のガソリン」と、アルツハイマー病研究の第一人者、白澤卓二先生はおっしゃいます。

 抗菌作用も高く、ココナッツオイルのうがいもよいといわれます。いずれもヴァージンココナッツオイルを使うことをお忘れなく。


日本園芸協会 指導部 佐々木薫



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佐々木 薫(ささきかおる)
プロフィール:
公益社団法人日本アロマ環境協会認定アロマテラピープロフェッショナル。 NHKをはじめテレビ、ラジオの出演多数。 日本園芸協会の通信教育講座「ハーブコーディネーター養成講座」テキスト執筆者。

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日本園芸協会 学習サービス課 aroma@gardening.or.jp




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