ハーブ・アロマ メルマガ 「佐々木薫先生のエッセイ」
vol.10
植物油の話
ハーブやアロマテラピーを楽しむ際には、基材として精油を希釈したり、ハーブのエキスを浸出させるために植物油を利用します。精油は脂溶性のため水には溶けず、トリートメントや手作り化粧品に用いる時は、植物油にブレンドします。
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人は植物から多くの資源を得て生活してきました。植物油もハーブ、精油同様、植物を起源とする貴重な自然素材です。一部をのぞき、多くは種子に含まれ、硬い細胞壁に包まれています。取り出すには加熱、粉砕、圧搾などの特別な方法で、この細胞壁を壊さねばなりません。ハーブ・アロマテラピーで利用する植物油の多くは圧搾法で採油されます。
オリーブ、ココナッツ、パーム(アブラヤシ)などの油脂は、やわらかい果肉に含まれます。よって、簡単な圧搾や加熱(熱水への投入)で得ることが出来るため、歴史的にも大変古くから利用されてきました。オリーブ油は聖書にも登場し、ギリシャ・ローマ時代から食用油、灯火、医薬品、化粧品、宗教儀式など多方面に使われてきました。 植物学的に見ると、植物は、種子の胚乳や胚には多少の油脂を含有します。発芽のエネルギー源とも言えるでしょう。中でも多く含むものが選抜されてきたわけですが、寒冷な地域に生育するものは少なく、多くは温帯から熱帯に分布しています。科目ではヤシ科(ココナッツ、パーム)、アカテツ科(シアが多いようです。
日本園芸協会 指導部 佐々木薫
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